ひろくん

人斬りのひろくんのレビュー・感想・評価

人斬り(1969年製作の映画)
4.3
幕末の人斬り岡田以蔵の半生。人斬りに目覚めたころから磔獄門までの以蔵。
以蔵の生きた動乱の幕末は以降の歴史に大きく影響を与えた豪傑が乱立した時代で、故郷の土佐にも、坂本龍馬、岩崎弥太郎、後藤象二郎、武市半平太、山内容堂など。そんな時代に犬のように使役され人斬りに身をやつすことしかできなかった以蔵にももう少し他の生き方があったのかもしれない。一応龍馬によって違う生き方も提示されるけど。貧乏家庭に生まれ無学無教養の半ば武市の奴隷のような冷徹無慈悲の殺戮マシーンとして描かれることの多い岡田以蔵だが、この作品では、もう少しマイルドで人間臭くて、旧知の仲の龍馬には度々優しさを見せるし、同業の田中新兵衛の刀で暗殺の依頼をされたときには良心の呵責に苦しむ。武市に対しても「俺は飼われた犬じゃねえッ!」と反抗もする。ただの殺人鬼ではなくより人間岡田以蔵を勝新が好演している。女でも耐えられる拷問に耐えられず泣いて自白するシーンがなくてそれもよかったです。
ただ、ちょっと幕末の大きな歴史の展望みたいなものとかある程度登場人物がどのようなことをした人かみたいなのがわかってないとちょっと追いつかないし退屈かも。僕は高校時代、日本史は本格的に勉強してないんですけど偶然幕末だけやってたのと、ちょうどその時期NHKの大河龍馬伝がやってて毎週ああ、これ龍馬伝で見たやつだ...!って、ほぼリアルタイムで授業が受けられてほんとに楽しく勉強できた思い出があるので幕末ドラマは結果知ってても総じて面白いです。ちなみに龍馬伝では人斬り抜刀斎こと佐藤健が岡田以蔵を演じていました。一応大男だったらしいので勝新のほうが忠実ですかね。
正直もっと出てほしい人物とかはいたと言えばいたし、ただこれ以上詰め込んでもっと長くなってもという感じですね。
まあ、三島由紀夫のサイドチェスト切腹だけでも見る価値あり。コシコシのタコが食いてえなぁ...。
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