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人斬りのmotyのレビュー・感想・評価

人斬り(1969年製作の映画)
3.7
初鑑賞。1969年(昭和44年)8月公開作品。
主なキャストは下記(年齢は公開当時)。

岡田以蔵:勝新太郎(37歳)
武市半平太:仲代達矢(36歳)
田中新兵衛:三島由紀夫(44歳)
坂本竜馬:石原裕次郎(34歳)

《良かった点》

・仲代達矢の武市半平太。冷徹でかっこよく、カリスマ性も出ていて、ものすごく良かった。

・三島由紀夫の演技、存在感。役者ではない彼の演技を初めて見たが、想像以上に許容だと思った。もちろん、他の俳優陣と並ぶと拙い感じは画面からは出ていたが、それでも賞賛に値するレベルだと思った。「幕末の四大人斬り」である新兵衛がもっていたであろう緊張感や肉体美が、三島の必死の演技/鍛え抜かれたフィジカルとマッチ。彼の存在自体が新たな魅力を本作にもたらし、この配役は成功していたと感じた次第。なお三島は公開の翌年、割腹自殺(楯の会事件)をしている。偶然にも本作でも切腹のシーン有り。

《悪かった点》

・勝新太郎の見た目(ぽっちゃり感)。どうも体格的に、私が勝手に思い描く「人斬り以蔵」のイメージとは違っており、そのせいか本作に最後まで没入できなかった。狂気は出ていたが。また人懐っこい感じの以蔵は製作陣の狙いではあるだろうが、どうも違和感があった。あと、当時37歳くらいの俳優にしては、既に見た目はおっさん化しているなあと。今の俳優なら、この年齢でも、もっとシュッとした見た目をしているし、フィジカル的な役作りをしてきそうだが。。まあ、彼が経営する制作会社が本作を製作しているため、そういう突っ込みは禁句かもしれないが(製作:フジテレビジョン+勝プロダクション)。

・石原裕次郎の竜馬。うーむ、純粋に合っていないと思った。石原裕次郎も34くらいの割には、見た目のシャープさが欠けた印象。

・テーマ音楽。映像の世界観と曲調が少し合っていないように感じた。
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NHK大河『龍馬伝』で岡田以蔵を演じた佐藤健が、あまりにも良すぎて、その印象が強かったせいか、本作の勝新にはハマれなかったというのが正直なところ。龍馬伝を見る前に本作を見ていたら、また違った感想になっていたかも。
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