石川

ベニスに死すの石川のレビュー・感想・評価

ベニスに死す(1971年製作の映画)
4.5
すごい映画を見た。死の直前に美を見つける。
年老いた芸術家の男は若さもないし平凡な自分に辟易して完璧な美を求めている。ヴェニスで出会った少年は美しく完璧だった。きっといつか少年も年老いてその美を失ってしまうだろうが、少年に備わった美は失われようとも、今この瞬間の美は、美という概念は不変なのだ。

これはショタコンホモなのだろうか。いや純粋な美の探究だと思う。
これがロリなら芸術や美ではなくただの性欲という印象を与えかねない。
古代の彫刻とか、スルタンの近衛兵イェニチェリとか、少年と美は切っても切れないような印象があるが、男性的でも女性的でもない中性的な完成された美が役者さんと相まってかなりの説得力を持っていた。

最期、死の間際に男は美を見つけた。儚くも美しい瞬間。
けれどこの感覚に何か覚えがあるんだよなぁ。それは夢。
ウトウトしてる時とか夢の中とか、何か大発見したような、この世の真理を発見したような、そんな気がするけどさっぱり忘れてる。しかもどうせ大したことなんて思い付いてない。
死の間際に何かに気付いても寂しいから、俺は夢との対話を大切にしようかな(脱線)
石川

石川