がぶりえる

遠い空の向こうにのがぶりえるのレビュー・感想・評価

遠い空の向こうに(1999年製作の映画)
4.6
夢を信じよう
信念を貫こう
仲間を信じよう
くじけずにやり抜こう
たくさん失敗しよう

物凄く真っ直ぐで、ストレートに刺さる映画。この時代の感動ものの映画の気持ち良さが詰まってる。シンプルで王道だけど胸熱だし、深い感動がある。映画ってこれで良いんだよな。

序盤の主人公が衛星を初めて見るシーンが凄く好き。
皆が夜空を見上げると、そこに小さく光るスプートニク1号が…。それをじっと見つめ、ただ呆然と立ち尽くす主人公。その瞬間、一目惚れする。遥か彼方の宇宙を流星のごとく煌めきながら飛ぶ衛星に恋をした。しかし、ここは炭坑の街。昔からその辺りに住む男はみんな炭坑男になる運命だ、と言われている街から空を見上げる主人公。でもやるしかない。美しいあの衛星を作りたい…そこから彼の大宙を目指す旅がはじまる。

あのシーンのジェイクの目の美しいことよ…好きなものに触れてる人の目は本当に美しい。そして、子供が夢を発見した時の感動は素晴らしい。台詞の少なさ、説明の少なさが本当に良い。ただ何処かの炭坑の街に生まれた将来に絶望する少年、ぐらいの説明しかされてないのに凄く感動できる。ここでもう泣けます(早い)。

そこから仲間と共にロケット作りを始める主人公。この仲間がまた良いのよ~うまく行ってる時も、うまくいってない時もお互いの気持ちを共有できる人がいるってだけで素晴らしいことだと思う。特にあの科学オタクの少年。最初ははぐれ者の変人扱いだったけど、主人公がロケットに興味を持っていると分かった瞬間のあの嬉しそうな顔。彼がいたからこそ主人公はあそこまでロケット作りにのめり込めたと思うし、続けられたと思う。
仲間ってホント大切。ホントに。

でも綺麗事だけじゃない。
親の反対、バカにしてくる同級生、周囲に被害の及ぶ危険な実験、自分の進路。夢を見ることの代償、主人公に降り掛かる様々な試練、それもしっかり描く。綺麗事だけでは夢は叶わない。特に子供にとって親の存在は大きい。主人公は親にロケット作りをなかなか認めてもらえない。下らないものとさえ言われる。そこをどう乗り越えていくかも面白い所。ラストの父子揃って打ち上げをするシーンは本当に気持ちが良い。爽やかな感動がある。

あとはジェイクが若くて格好いい。
「ナイトクローラー」のギョロ目のインパクトが強すぎて怖い人だと思ってたけど、こんな爽やかな役もやってたんだ。