人は誰もが心に刃を隠している
常に剥き出しの人
密かに胸の内で研ぎ澄ます人
持っていないと信じ込む人
それぞれの形で
しかし
心が打ち砕かれ
その事に気づかされた時
深い闇の中で
己も傷つけ
血を流しながら
刃は向かうべき場所を探す
そうしなければ
もう自分の命を繋ぐことが出来ないから
妻を失い
娘まで無残に奪われた
寺尾聡
誰に彼を責めることが出来るだろう
私だって絶対に許すなんて無理だ
娘さんはそんな事は望んでいないだって？
誰にわかる
前を向けって？
やれるものならやっている
何か言えるのは
同じ思いをした父親だけだ
もし
目の前で
あの子が「やめて」と言ってくれるならば
でも
もうその声を聞くことも
笑顔も見れない
観ていて
あまりに
あまりにも
辛かった
こんな事件が
実際にあるのですから
恐ろしいし悲しい
世の中では
これからも
刃がさまよい続けるんだろう
