mausni

リトル・ミス・サンシャインのmausniのレビュー・感想・評価

4.5
絶対好きだろうけど意外と観てなかったシリーズ。お涙頂戴系ファミリードラマのセットをマシンガンでぶち抜いてタンクローリー車で粉々にしてからそのパーツでセットを組み直して最高の作品を作りましたみたいな感じ。

コメディとユーモアたっぷりだけど、それぞれの傷もきちんと繊細に扱ってる塩梅がちょうど良かった。長男がポール・ダノだったことに途中から気づき、あれ?と思った曲はsufjan stevensというのも上がった。
この人が劇中歌の作品ハズレなし。

世間的にはルーザーズでも、自分らしさを大事にするのが一番だよねっていう背中押される作品。少女のオリーヴが真っ直ぐで眩しすぎて見習いたい。ヘロイン中毒のおじいちゃんはゲスいけど憎めない。繊細なスティーブ・カレルと、ニーチェの影響でひたすら無言なポール・ダノの2人がすごく良かった。変わり者扱いされてる2人が一番まともっていう。そういうのはこちらの社会でもよく感じることだ。

成功主義者の父の方がよっぽど狂っている。そこにバランサーの母が必要不可欠で常に周りのことを考えて調整をしているというのも、社会の縮図を見てるみたいだった。とはいえ、個人個人がバラバラでキャラがそれぞれ立っていたのも結果的に全体のまとまりを強く魅せていたし、「みんな違ってみんないい」は苦手な表現だけど、ぶつかりながらも「あなたはあなたのままでいいよね」ていう肯定感が生まれていく感じが沁みた。

こういうやさしい映画だけを観ていたい。
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