近本光司

銀座カンカン娘の近本光司のレビュー・感想・評価

銀座カンカン娘(1949年製作の映画)
3.5
1949年に「指をさされて カンカン娘/ちょいと啖呵も 切りたくなるわ/家はなくても お金がなくても/男なんかにゃ だまされまいぞえ/これが銀座の カンカン娘」と歌わせるのに、高峰秀子以上の適任がほかにいただろうか。実際はどうだか知らないが、これはおそらく当て書きだろう。そんなデコちゃんのすばらしさはさておき、笠置シヅ子も灰田勝彦もまさにミュージカルの本懐をいっていて、五代目志ん生にいたっては最後にまるで悟りを開いた坊さんのような面持ちで落語を一席ぶってそのまま幕を閉じる。笠智衆が陽キャだったらこんな感じだろう。印象づけられたのは岸田明という太っちょの芸人。ドリフ並みにくどくおデブネタを繰り返すのだが、これまた絶妙で可笑しい。あたらしい時代をつくろうとする新東宝の気概と風通しのよさを感じる作品。