妙なリアリティが全体を覆っていて、他の登場人物たちと同じく、実際に世之介と一緒に過ごしたかのように感じてしまう。没入した先にある喜びや寂しさは誰もが現実に経験しうるもので、映画との境界線が曖昧になり、観終わったあとは泣き笑い。キャストがそれぞれ持ち味を発揮していて、中でも加藤との公園でのエピソードは心から嬉しくなった。
いまはどこで何してるか知らなくても、ふとしたきっかけで思い出す存在。世之介だけでなく、きっと我々も何気ない選択や小さな出会いの積み重ねによって、誰かの人生を無自覚に大きく変えているんだろう。奇跡的な繋がりを結びつけて生きている、そんな「普通」の人々への讃歌。