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日本の首領 野望篇のodyssのレビュー・感想・評価

日本の首領 野望篇(1977年製作の映画)
3.8
【豪華なキャスティング】

BS録画にて。
三部作の第二部だけれど、第一部と第三部は未見です。

関西のヤクザが関東に殴り込みをかけて、そこに財界人や政治家、さらには東南アジア某国の大統領まで絡むという筋書き。

とにかくキャスティングが豪華。
関西ヤクザの大ボスが佐分利信、関東方は三船敏郎。
そのほか、菅原文太、成田三樹夫、松方弘樹、佐藤慶、その他多数。

これに比べると女優陣はやや淋しい感じがしますが、岸田今日子が元伯爵令嬢で、頼まれて赤坂の高級バーのママになるという設定。
それと、デヴィ夫人がモデルという、東南アジア某国大統領に見初められる日本女性の役どころが金沢碧。最初はさほどとも思えないけど、徐々に色っぽくなり洗練されてくるところがいい。

ヤクザの話だけれど、身体を使った抗争だとか暴力シーンは控えめで、むしろ政財界や女をも巻き込んだ知謀の渦の中で物語が展開されます。
そうした展開が、存在感のある俳優によっていっそう重みを増しているのです。
特に三船の演技はきわめて抑制的で、そこがかえって凄みを感じさせる。

戦後25年、まだ戦時中の人材が現役であり、東南アジアをも巻き込んだ戦争の影が残っていた時代です。
今ならこういう映画は作れないでしょうね。
だから、逆に言うと今だからこそ見たい映画、だと思います。
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