半兵衛

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒の半兵衛のレビュー・感想・評価

3.6
無駄に広げすぎた大風呂敷をうまく収集できず、変なオカルトや世紀末要素、監督がこだわる変態レベルの少女趣味演出も相まって「なんだこれは」感の強い作品に。手塚とおるの熱演は凄いけれど、別に要らないっちゃ要らないな。

それでもこの作品が見ごたえがあるのはCGと実写のバランスがうまくとれている特撮演出が素晴らしいから。序盤のガメラ渋谷上陸シーンをはじめ細かいところまでこだわり抜いた都市破壊は20年たった今でも鮮烈だし、京都駅でのガメラ対イリスの死闘は怪獣や建物、人間の合成や編集が上手くいきすぎてオーパーツの領域に。平成ガメラシリーズは金子修介や伊藤和典に目が行きがちだけれど、樋口真嗣をはじめ原口智生、神谷誠、品田冬樹、三池敏夫といった一流スタッフの技術をもっと評価してあげてほしい。

そして自分を恨む少女に対して誠実に接して最終的には彼女を助けるガメラのヒーローっぷりに泣ける、自分の手を失いながらもその部分を炎にまとって相手を攻撃する姿は『続・荒野の用心棒』のフランコ・ネロや『新座頭市物語 折れた杖』の勝新太郎、『新必殺仕置人』の山崎努がダブり胸が熱くなった。そこからの『関の弥太っぺ』(錦之助バージョン)のような終わらせ方もいいね。

エンディングのバラードも名曲で切ない余韻が残る。
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