日向日向

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒の日向日向のレビュー・感想・評価

3.5
月に重なるイリスの姿はそれはとてもとても美しかったです。

平成ガメラを通して3作観て参りましたが、今作はもうただただ物語が、展開が、雰囲気がダークです。暗鬱とは決していえませんが、過去2作とは確実に違う。

今回は、ガメラ側のみでなく、ガメラを憎む側の感情をひたすら描いていたため非常に感情移入してしまいました。
ガメラは人類の敵なのか、味方なのか、それを討論する番組のインタビューのシーンは、どこか人間の心の闇を描いているように感じられます。個人的な意見ですが、イリスという化け物は本当は人間の深い部分に誰しも存在しているのではないか、などのことをついぞ考えてしまいました。

勿論、特撮は素晴らしかったです。
少しCGが増えましたが、それにより「どうやったら倒せるんだよ……」という絶望感を与えることに成功しており、そう考えると、特撮とCGの融合作品としては数少ない成功例ではないのか、と思います。
また、今作独特の暗さが、イリスとの戦闘の悲壮感を強調させることに成功しており、脚本面でも特撮面でも優れていると断言できます。

だけと本音を言うと少し救いが欲しかった……。
ラストは見方によっては救いになるし、彩奈さんにとっては最高の救いだと思うけど……どこか心の奥に悲しさが残ってしまいました。
特撮はやっぱ明るいストーリーでいて、王道であるべきだと思うんですよね。
日向日向

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