とうじ

断絶のとうじのレビュー・感想・評価

断絶(1971年製作の映画)
5.0
最高。何回でも見直したくなる。ここまで一貫とした物語が見えてきたと思ったらそれが指の間からサラサラとこぼれ落ちて消えてしまうような感覚のある映画はない。しかし、そのような本作の雰囲気こそ、流浪の精神性、人間が本来持つ自由さとそれ故の空虚さを詩的に表現したものとなっている。イージー・ライダーは似たような主題を扱った大傑作であるが、あれは物語の上でキャラクターが右往左往している印象を受けた。しかし、本作はキャラクターが物語、テーマにさえ縛られていない。だからこそ、ああいう風に終わるしかないのだと思う。本作は見る人に何かを押し付けて弾劾するようなものでは無く、あくまでも夕方の砂漠に広がる地平線のような、美しく、永遠の広がりを見せ、だからこそ残酷で切なく、全体的に優しい映画である。
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