Kenjo

ヴァージン・スーサイズのKenjoのレビュー・感想・評価

ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)
4.2
ソフィアコッポラ監督の作品。
コッポラ監督って何人かいるんだね。
コッポラファミリーすごい。

この映画は大学の授業で見せられた覚えがあるけど、当時ちゃんと見てなかったからUNEXTで見直した。

5人の少女が自殺する話を、近所の少年が日記や体験などから回顧するような形で展開される。

比較的自由で裕福な家庭で育っていたはずの女の子たちが、1人の少女の自殺とある事件をきっかけに親によって家に幽閉されてしまう。

思春期特有の鬱憤や反抗心をどことなく感じさせる演出と、美しい少女の儚く脆い生がとても美しかった。

これには原作があって、「ヘビトンボの季節に自殺した5人姉妹」という題名。まだ読んでないんだけど、この映画を見ただけだと割と謎だらけで難解だから、原作にもあたりたい。

時代背景も、アメリカの車産業が斜陽化してきて、環境問題も顕在化していて、未来に希望が持てないような時代。
そんな世の中に生きてても、未来に希望を持てず、どんどん状況が悪くなっていき、将来尻拭いをするのは自分たちの世代だと見えてしまうと、もう一番マシな今死ぬ方が賢い選択になってしまう。

少女の自殺は、時代の自殺、未来を失うという意味で象徴的なものになっていると思う。時代の流れが下降傾向で、未来が見えないということを、汚れのない(virgin)少女はどこかで感じていたんだと思う。

これからの時代、特にコロナで未来も見えず政治家もまともに任せられない人間ばかり、教育なんて古臭いし自由もない、地獄へ向かうレールの上を走らされる人生。
自殺という選択を取らずとも、無気力で未来に期待できない世代は増えていくんだろうなと思ってしまう。
最近そんな空気を世の中から感じてしまって勝手に辛くなってる。

デュルケムの自殺の四類型に当てはめると宿命的自殺に近いのかな。
個人の欲求が親に抑圧され支配されている状況で起きる自殺。
Kenjo

Kenjo