アラシサン弐

ヴァージン・スーサイズのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)
3.9
理解されないことを嘆くのが青春映画の定石だと思うのだけど、この作品は意図的に大人側を突き放してくるような感覚を覚えた。
「理解する気がないでしょ?」みたいな感じに。

個人的に新鮮だったのは、十代の葛藤を抑圧されている当人達ではなく、彼女らに憧れて覗きをする少年達の第三者視点から観察するような描き方をしていること。

その少年達が絶妙に芋っぽくて、その対比でちょっとあざと過ぎるくらい綺羅びやかに映されてる姉妹が違う世界の存在みたいに見えてくる。
だからより一層に感情移入させる隙間をくれない。

そもそも思春期の少女に一番共感して理解し合えるのって同じく思春期の少女だと思うのだけど、そういう存在が登場しないのが、より危うさを増幅させてくる。

純心に姉妹に憧れを向ける少年達や、自身の欲求のまま近づいてくるモテ男、そして固定概念で抑圧してくる母親。
みんな広義では愛情を持った存在なのに、思春期を理解することが出来る存在ではなく、同時に姉妹を救い出す存在でもないのが皮肉だ。

冒頭、医者にリストカットの理由を問われて「先生は13歳の女の子じゃないからね」と答えるのが全てを象徴していると思った。
アラシサン弐

アラシサン弐