yoko

ヴァージン・スーサイズのyokoのレビュー・感想・評価

ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)
4.0
コッポラは過小評価していて食わず嫌いだった。そしてキルスティンも同様に。昔に、今作を観ていたのだが全然ハマらなかったのはそこまで5人姉妹が美人に見えなかったのが大きい。美人が見たいというより、この役の場合フェアリーさが必要だと感じたからで、どこか芋っぽく、キルスティンにいたっては骨っぽいというか、彼女の生来のタフさが顔に出過ぎてると思ったから。薄幸さより普通に現実的な気がしたから結末にあまりリアリティーを感じなかったのが当時の印象。しかしトリアーのメランコリアを通過したあとでようやくキルスティンのタフさと向き合えた気がした。

コッポラの映画の良いところはどの作品も100分くらいで終わるところで彼女の倫理観なのか、それとも3時間くらいの長ったらしい映画監督にトラウマ笑があるのかわからないが潔くて良い。

そしてロストイントランスレーションもマリーアントワネットも隔離されたような場所で適応するための不安さと女の子なワタシの綱渡りというか、そういうものしかテーマにしてないと思う。

まあ自殺未遂のあとの盛大なパーティー、これがもう悪手よな。両親がわかってない証拠。パーティーがなければひょっとしたら自殺しなかったかも。

父親が再三だす模型の飛行機は現実には飛べない、籠の鳥のようなモチーフだと思う。だから柵に落ちる。両親2人の演技は絶妙で堅苦しすぎず毒親に見えなさすぎず親バカギリギリのラインを攻めているのが素晴らしい。

男のイケてる組、イケてない組の生々しさバリエーションの豊富さに比べて5人のノッペリさ。このフラットさは冒頭の自殺の理由を聞かれ「13歳の女の子じゃないからわからない。」につながる。女の子じゃないからわからない人には説明しない描写をしないのだ。

年頃の女が日記を普通に捨てるのはおあつらえむきで都合良すぎだが。そこから勝手にパーソナルを想像する。安い映画ならイケメン組でなく映画オタクな観客と同一のイケてない男の子たちが本当の強さ優しさを見せて救うという結末を用意するがそれすら軽やかに拒絶する。

後日談のイケメン役、お前だれだよwww
イケメンもイケてないメンも徹底的に小馬鹿にするのである。
yoko

yoko