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エンゼル・ハートのbucciaのレビュー・感想・評価

エンゼル・ハート(1987年製作の映画)
4.0
永遠のMy best movieと公言している『セブン』。その『セブン』の世界観やジャンルが好きになる原点となったのが本作『エンゼル・ハート』です。『エンゼル・ハート』との出会いは、たまたまテレビを点けたら、映画放送で当時憧れていた映画スター ミッキー・ロークが出演していたので何気なく観始めたのがきっかけでした。

初めは、ピストルで頭を撃ち抜かれていたり、ナイフで体を切り裂き心臓をえぐり取るなど凄惨な殺人シーンに衝撃と不快感を感じながらも、殺人を繰り返すジョニー・フェイバリットがどこに潜んでいるのかとミッキー・ローク演じるハリーに感情移入しながらテレビにくぎ付けになっていました。そして、ラストの大ドンデン返しに更なる衝撃を受け、映画ってこんなに面白いものだということに気づかされました。

秀逸なストーリーに加え、アラン・パーカー監督による光と影を多用した美しい映像や演出も見どころの一つです。わずかに回転している換気扇やタップダンスを踊る少年の足元など映したシーンが何気なく劇中に差し込まれ、一体何か関連があるのではないかと観ている者を考えさせ、ますますストーリーに引きこませていく演出は素晴らしいの一言。そして、ラストのジョニーが処刑へと向かうエレベーターで降りるシーンはこれまでの映画の中でも最高に耽美的で印象的なラストではないでしょうか。もう芸術的な域に達してますね。

絶賛の作品なんですが、一般的にはラストのオチに対して賛否が分かれており、宗教的なことが受け入れられるか否かで評価が分かれてくると思います。グロ描写も多く人を選ぶ作品ではありますが、『セブン』のようなジャンルが好きで、まだ本作が未見の方は絶対に面白いと思うしハマると思います。80年代の古い映画ではあるけれど、是非観てほしい作品です。
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