RIO

春にして君を想う/ミッシング・エンジェルのRIOのレビュー・感想・評価

5.0
君を必ず連れていく
叶えてあげよう
君の心に口づけよう

都会の真ん中で
幼なじみのステラとの再会
新しく買った真白いスニーカー

二人は風のように消えた

生と死が互いに包括し合う
旅路の果て

二人の旅をじっと見守る

足元を照らす昔と変わらない
月明かり

人生の終焉に向かう景色
何もかも懐かしい

島の丘にある教会
ささやかに咲く花
この身を纏う
哀しみが剥ぎ取られる

ステラのために歌った讃美歌の歌
ゲイリが住処を発つときに
オルガンで弾いていた曲

見たことのある天使ダミエルは
傷ついた足に手を触れ
片方の肩に手を置く
ここでも心の声に耳を傾ける

荒涼としたアイスランド
本当に本当に優しくて
何もかも素晴らしかった

テオ・アンゲロプロス
「霧の中の風景」と双璧の珠玉の作品
「コールド・フィーバー」の
フリドリック・トール・フリドリクソン
監督
原題「Börn náttúrunnar」


本編に出てくる言葉ではないですが
こんな事を考えました

街を歩き回っている時
世界は存在しているように見える
透明なガラス一枚が私たちを
生から切り離す
生を見つめるあまり
ついに生を忘れてしまうのだ
とエミール・シオランも言っている


絶望とは死に至る病である
自己の内なるこの病は
永遠に死ぬことであり
死ぬべくして死ねないことである
それは死を死ぬことである
ゼーレン・キルケゴール
RIO

RIO