昼行灯

東京上空いらっしゃいませの昼行灯のレビュー・感想・評価

東京上空いらっしゃいませ(1990年製作の映画)
3.9
よすぎ 色んなことがあったのにたった1日程度の時間しか流れてなくて、でもそれに気づいた時に、主人公が今が1番幸せと言った意味が分かる。

長回しによって登場人物の動線が際立ち、物語世界がすごく立体的に見える。長回しという形式が、飛び回るヒロインの懸命さ、生命力、天真爛漫さといったキャラクター性に結びついてるのが素晴らしい。
ベランダと屋内の空間の使い方。ベランダが広いし、階下の鞠谷友子の家と繋がってることが面白い。鞠谷が垂直関係だとしたら牧瀬里穂は水平の関係。特に牧瀬里穂が鶴瓶の存在を隠すために彼をベランダと室内に交互に移動させてたのがウケた。

鶴瓶との友情?関係が君たちはどう生きるかの主人公と青鷺の関係にも似てた。物語のガイド役との友情って日本映画特有?ドラえもんとか。でもこっちは、鶴瓶の姿が自分の死の原因を作った人間と同じところが独特だと思う。

あと、男性主人公とのキスはなんだったんだ、、そこだけは違うやろと。歌唱シーンの長回しによる恋愛なしの2人だけの世界の構築に感動してたのに残念だった。そもそもヒロインの少女性が際立つ一方で、彼女を取り巻く男性たちの表向きには描かれない性的視線が腹立つンゴ、冒頭の鶴瓶のキモさもヤバすぎたが、青鷺鶴瓶や男性主人公とのボディタッチの多さや、男性主人公の兄弟喧嘩に挟まれるホステスなど時代めちゃ感じた

ファンタジー要素もよかった。夢みたいなシーンの連続、この世界に生きたい。ラストのキスシーンには不満足だけど、キス後に土砂降り(明らかに人口雨と分かるところがいい)、鶴瓶が近づいてきてからのカメラ位置が車外に変わるという、このヒロインが死んだ元の世界線に戻ったことが示される感じ。車外に主人公が出た瞬間、まるで彼とその愛車が舞台上でスポットライトを当てられているかのようなミザンセヌになってるのが孤独なんだけど、劇仕立てになってていい。この嘘くささが面白いところ。
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