アノクタ

釣りバカ日誌10のアノクタのネタバレレビュー・内容・結末

釣りバカ日誌10(1998年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

オープニングが描き下ろしの漫画ver
原作者のやまさき十三・北見けんいちも
レストランのシーンでカメオ出演している。

そんな記念すべきシリーズ10作目。
メインストーリーは…
会社に嫌気が差したスーさんが清掃会社に再就職
しかしその派遣先がまさかの鈴木建設!
社長という身分を隠し潜入していく。

ビル清掃という点でいうと
脚本の山田洋次が監督を務めた「学校3」
公開年も近いしストーリーの着想に影響が
あったのだろうか。
とにかくこのシチュエーションが
コメディとして面白い!!

佐々木課長のペンをパクったり
重役たちが社長の悪口を言ったり

色んなフロアに出入りする清掃員が
社長とは知らずに軽口や悪口を言いまくる
社員たち。
チグハグなシチュエーションが生み出す笑いは
シリーズ上では一二を争う秀逸な設定だ。

このシチュエーションを活かした笑いを
もっともっと見たかったと感じた。
それくらい楽しい。

運転手・前原がいつもより活躍するのも素敵。
すっかり釣り好きになってしまっている格好は
愛らしい。

ゲストは金子賢と宝生舞。
できちゃった婚や同棲生活…
スーさんと歳の離れた男女が巻き起こす日常。
そして就職難や中高年の自殺など
全体的にしっかりと「今」を描こうとしている
気概を感じる。

北九州人の無骨な父親を演じる夏八木勲も
短い出番ながらも土地の色が出た人物を
しっかりと演じ切っている。

披露宴のシーンだけスーさんが
髪の毛ボサボサでお吸い物ガブ飲みしたり
少々ぶっ飛んでるのは何故なんだろう?

そんなどーでもいい疑問はあるけれど
いつもの設定を生かしながら崩す所は崩す。
ゲストで若者の今も描く。

シリーズの中でも
安定と挑戦を感じる秀逸な1本。
個人的には大好きな作品だ!

ナイスカット
屋上のジェスチャー会話
ふざける塩梅がちょうど良い。
コレ以降の現実離れしたふざけは
現実離れし過ぎているので好きじゃない。

ラストの工場と一体となった釣り場・空撮
途中、北九州の様々な場所も丁寧に撮影
北九州の切り取り方が良い

ふざける塩梅と日本の風光明媚。
栗山富夫監督のセンスが好き
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