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ワイルド・ワイルド・ウエストのtsuraのレビュー・感想・評価

3.4
自分が中学生時代に見た作品。
2000年の正月映画で、期末試験を終えて煮詰まっていた自分には丁度良い塩梅の映画で楽しんだ記憶がある。

内容はともかく。

大西部時代には先駆者的な蒸気機関を多用したメカと奇想天外な仕掛けに魅了されつつ、ウィルスミスとケビンクラインの凸凹具合とベタベタな笑いを交えながらケネスブラナー演じるラブレス将軍の悪事を成敗する為に奔走する流れも特段悪くなく(途中省きすぎなシーンもあるけど)まぁこんなものだと思えばこれはこれで楽しめる。

ラジー賞の最低作品賞獲ったりと不名誉?なところはあるけど、難しい映画を見過ぎた後には、これくらい能天気なアクションアドベンチャーは凄く満喫できる。
それに南北戦争というアメリカ史に於いて未だに深い爪痕を残す戦争と今でも暗いニュースが絶えない人種差別問題をここまで無茶苦茶に描いてたりするとそもそも私達は何に対して頭をもたげているのか?やや横暴にすら思えるこの映画の能天気な発想に、いぶかしく勘繰ってしまうけど、それは野暮。
つまりは深く考えなくても、仲良く行こうぜ的な勢いが、ある。

そんな現実離れな遠い所へ私達を連れて行ってくれる点において"のみ"を言えばエンタメとしての力量はあると感じた。(矢張りだけど、要するにこの作品をそこまで深く考察しないでいいという事!)

ただし。

個人的にこの作品の中で過小評価されてるなと感じる点がある。

それは、この作品の音楽。

巨匠エルマー・バーンスタインが手掛けたオープニングのスコアは、それはそれは非常にカッコよく吹奏楽経験者なら是非一度演奏してみたいと思わせる躍動感溢れるテーマ曲になってるし、エンディングではウィルスミスが「MIB」同様に痛快なラップを披露。(この曲の元ネタはスティービーワンダーの「I wish」)
この音楽の部分に於いてだけは誰に批判されても私はカッコいい!と言い続けたい。

単に純粋な西部劇や元ネタの往年のテレビドラマの世界観にある種のリスペクトし過ぎず、大胆なリイマジネーションをしてしまう横暴ぶりもウィルスミスだと愛嬌あるので、なんだかんだで許してしまう。

彼には時折でいいから、こういった軽いテイストのアクション大作を世に送り出して欲しいと思ってしまう。
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