ゆうさく

簪(かんざし)のゆうさくのレビュー・感想・評価

簪(かんざし)(1941年製作の映画)
4.5
これは、凄い。大傑作だ。

まず、クレーマーの先生のキャラクターが素晴らしい。かなり笑わせてもらった。セリフのとぼけ具合が洒落ている。

決して多くはないがところどころで顔を出す移動撮影が目を見張る素晴らしさ。序盤の宿の中を横移動でずーっと見せていくカットや、画面外から南無妙法蓮華経が聞こえてきた直後それを唱える団体客を斜め後ろからズイズイ〜っとドリー使って見せるカット、階段を登る笠智衆の足元のアップをフォローしていくカット、傘持って階段を登る田中絹代を捉えたラストカットなどなど…それにしても階段登るのをああやって撮るのってどうやるんだろう。かなりムズイ筈。

そしてロングショットが美しい。
前半の林の中で歩行訓練をするシーン。キラッキラに日光が輝いてやがる。そんで後ろの方にムシャムシャ草食ってる牛が見えて笑う。
クライマックスでの階段上の笠智衆、階段下の田中絹代、の構図も最高。

あと忘れちゃならんのが洗濯物取り込みながら話すシーンね。あれはヤバいよ。泣く。
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