Okabe

簪(かんざし)のOkabeのレビュー・感想・評価

簪(かんざし)(1941年製作の映画)
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温泉で足に簪が刺さったのを情緒的と言う笠智衆の言葉を、周囲が拾って「イリュージョン」に仕立てあげる。いびき合戦をする学者と老人や、橋を渡る按摩さんにまで、「がんばれがんばれ」と声を掛ける子どもらのおかしさ。イリュージョンそのものを担わされる恵美(田中絹代)が現に「情緒的」過去を抱えた人物で、ひとり温泉地に留まってイリュージョンの足跡を辿る。映画の地縛霊。
不安定な河原の石や石段をぐうっと踏みしめる足のクロースアップがとてもよかった。
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