ハヤテ

インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実のハヤテのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

リーマンブラザーズの破綻と世界最大の保険会社AIGの経営破綻から起こる世界金融危機に関するドキュメンタリー。


以下備忘録

1930年の世界恐慌から米国金融界は厳しい規制を受け40年間金融危機は起こらなかった。

1980年代から米国投資銀行は株式公開し大量の資金調達し豊かになり始める。

1981年レーガン大統領により30年間にわたる金融緩和に着手。

1985年大量の資金とロビー活動よって金融界の人材が政治システムに入り込む。

法律改正で合併による金融機関の巨大化が進む。破綻すれば業界全体に脅威が及ぶほどになる。

1990年代、冷戦後、技術進歩によりデリバティブ投資普及。規制はなかった。

1998年クリントン政権でも合併巨大化が進む。世界最大の金融機関シティグループが誕生、違法な合併だったが、翌年法律改正がされ合法となり、巨大化が加速する。なぜ巨大化するのか、巨大であれば救済されると知っているから。

2001年ITバブル、インターネット関連株でバブルが発生、5兆ドルが吹き飛ぶ、証券アナリストは、金を貰って顧客に嘘を吹き込み株価釣り上げる。


リーマンショックの原因
金融業界は統合が進み、中心となっていたのは投資銀行5行(ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、リーマン、メリルリンチ、ベアースターンズ)金融複合2社(シティグループ、JPモルガン)保険会社3社(AIG、MBIA、AMBAC)格付け機関3社(ムーディーズ、S &P、フィッチ)

これらが住宅ローンを証券化して投資家と結びつけた。(証券化の連鎖)家を買う人は、銀行にお金を借りる。銀行はローン債権を投資銀行へ渡す、投資銀行は、住宅ローン、車ローン、学資ローン、カード債務などをまとめて債務担保証券CDOを作る。それを投資家に売る。よって住宅ローンの返済金は投資家へ流れる仕組みになった。

こうなると、貸しての銀行は返済がどうなっても関係ないため、危険な相手にも貸し始める。投資銀行もCDOを売れば売るほど利益になる。さらに投資銀行は格付け機関に金を渡しCDOの高評価にするよう依頼する。安全だと思われたCDOは年金基金に多く買われる。

年間数千億が証券化の連鎖に流れ込む、誰でもローンが組める、住宅購入が急増、住宅価格は高騰する。2000年から2003年の間で住宅ローンは増え続け、4倍まで増える。2006年までにリスクの高い住宅ローン(サブプライムローン)が急増、格付け機関は高評価のまま、金融業界は、増えるローン量と手数料で大儲け。CEOやトレーダーはボーナス急増。2006年S &P500の総利益のうち4割が金融機関の金になるほど。

しかし、本物の利益ではなく、システムによって作り出された帳簿上の収益にすぎない、数年後、債務不履行で消える、ようするに世界規模のポンジスキームと言えるのではないか。


もう一つの原因がCDS
世界最大の保険会社AIGは大量のCDSを売っていた。CDSはCDOの保険となるもの。CDS購入者はAIGに保険料を払う、もしCDOが破綻すればAIGから損失分が保証される仕組み。これが通常の保険と違い、CDOを保有してなくてもCDSが買える仕組み。

AIGはバブル期にCDSを大量に販売、短期的な売り上げで巨額のボーナスを社員に渡す、CDO破綻時には返済不可なほどになる。

GSは顧客にCDOを安全と言い買わせる。崩壊することを知っていたGSはAIGからCDSを大量に購入、あまりに大量のため、CDOが破綻した時はAIGが破産することも分かっていて、さらにAIGの破産に対するCDSも購入していた。結果CDOで顧客が損するほど、GSが儲かる仕組みとなる。

格付け機関は投資会社への評価報告書の提出で報酬を得ている。AAAとい安全評価を出すほど儲かる仕組みになっていた。AAA評価が急増するようになる。これらの金融機関の報酬体系に問題があると指摘するも変わらず。

2008年住宅の差し押さえが急増、証券化の連鎖が内部崩壊する。CDOの市場は崩壊し、投資銀行の市場が崩壊、投資銀行には売れない住宅ローンやCDO、不動産を抱えた。

ベアースターンズが資金不足でJPモルガンが救済買収実施。住宅ローン機関ファニーメイとフレディマックの国有化を発表。リーマンブラザースが32億ドルの損失発表、株価暴落。メリルリンチはバンクオブアメリカに買収された。リーマンブラザーズは格付け評価は破綻直前もA2。AIGは救済直前もA2、ファニーメイとフレディマックは救済直前もAAAであった。


2018年9月リーマンブラザース倒産後、何千万という取引が停止。資産を預けていたヘッジファンドは資産は引き出せなくなる。MMFはリーマンの債権7億ドルが回収不能になる。多くの会社が給料の支払い等に使用しているマーケットも崩壊し、従業員解雇、部品買えず、業務停止。金融システムが止まり、誰もお金を借りられない状況となる。

AIGはCDSの保証で130億ドルの支払いがあったが、資金はなく、直ちに国有化され。翌日CDSの買い手に610億ドルが支払われた。最大手客がGS。

解雇と差し押さえが急増、失業率は10%を超える。景気後退は加速、世界中に広がる。

2018年12月 GMとクライスラー経営破綻。米国消費の落ち込みで中国の製造業売上急落、中国では一千万人が失業。

リーマンブラザーズのトップ5人はバブルで10億ドル以上を稼ぎ倒産後もそのまま保有、メリルリンチCROは会社倒産後、退職金に1億ドル以上受け取る。AIGの社長は損失後も月100万ドルを受け取る。

金融界は50億ドル以上をロビー活動と選挙献金に充てている。リーマンショック後も増えており、政権への影響力がかなり強い

また経済学会を取り巻いていており、1980年の規制緩和には学界からのサポートがあった。政策決定に大きな影響を及ぼしている。経済学者も取締役となり多額の報酬を得ている状況もある。

2010年オバマによる金融改革はかなり弱いものであった、なぜならウォール街政権だから。

リーマンショック再発防止を目的にドットフランク法が制定されている。
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