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ロリ・マドンナ戦争のPeggyMYGのレビュー・感想・評価

ロリ・マドンナ戦争(1973年製作の映画)
4.0
「ゴールデン洋画劇場」で放映されたことがあるんだ…ビックリ。

山間の田舎町に住む〈ガットシャル家〉と〈フェザー家〉。言ってしまえば土地を巡ってのご近所トラブルなのだが〈ロリ・マドンナ〉という実在すらしない人物を発端に諍いがエスカレート。
行き着いた先には悲劇しかない。

いかにも無教養で粗暴な男2人組(兄弟)が、小柄な女の子を無理矢理さらう冒頭から、イヤ〜な感じ。
自分たちの敷地内に入ってきた隣の娘を強姦するシーンも酷過ぎて気分が悪くなる。

が、
田舎特有の絶対的な父権主義、そこから逃れられない息子たちや妻の状況、戦死した息子や事故死した義娘の存在などが複雑に絡み合い、一人ひとりの人生に想いが及ぶようになってくると、ただの浅はかな争いの話とは片づけられなくなってくる。
当たり前だけれど、どんなに仲の良い家族だろうが、長年の暮らしの中でいろいろ抱えてしまうのはどこでもいつの時代でも同じだ。

それにしても、全てをかっさらうロッド・スタイガー。『質屋』でも、ある出来事をきっかけに人が変わってしまい自ら不幸を呼び込む男を演じていたが、本作ではさらに弱さの裏返しで野卑な狂気が爆発。怖い。

たまたま最近観た「サンダーボルト」と同時期のジェフ・ブリッジスが本作でも好演。今回もツルッとしてフニャッとしているけど、1番真っ当な優しい息子役。
誘拐した娘に激しめにジャレついて嫌がられた時の「あれ?」っていう顔が可愛かった。

あまり一言で表せない作品だけれど、見応えのあるいい映画でした。
観てよかった。





余談。
途中、ガットシャル家の息子(ゲイリー・ビジー)がテレビで観ているのは、映画『禁断の惑星』のクライマックスシーン。マイDVDで確かめたから間違いナシ。
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