R

見知らぬ乗客のRのネタバレレビュー・内容・結末

見知らぬ乗客(1951年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

1951年のアメリカの作品。

監督は「サイコ」のアルフレッド・ヒッチコック。

あらすじ

アマチュアのテニス選手ガイ・ヘインズ(ファーリー・グレンジャー「メディア/虚構の世界」)はある日、列車の中でブルーノ(ロバート・ウォーカー「マイ・サン・ジョン/赤い疑惑」)と出会う。お互い殺したい相手がいると分かったブルーノは交換殺人を持ちかけるがガイは冗談だと思い、取り合わないまま別れるが、その後、ブルーノは実際にガイの奥さんのミリアム(ケイシー・ロジャーズ「炎の館」)を殺してしまう。そのことを後から知ったガイの前にブルーノが再び現れ、殺しの依頼をしに執拗につけ狙い始める。

U-NEXTにて、その昔、ヒッチコック特集を午後ローでやっていて(確か「引き裂かれたカーテン」と「フレンジー」)、その時以来の超久しぶりのヒッチコック作品。

どうやら、ヒッチコック作品の中でも、かなり上位に食い込む面白さらしいんだけど、なるほど確かにこれは面白い。

お話はあらすじの通り、交換殺人を扱った作品。交換殺人なんて、昔のミステリー小説にしか出てこないような、お互いの信頼ともちろん殺したいだけ憎いんでいる相手がいないと成立しないような行為なわけで、今作でも主人公のテニス選手、ガイは冗談だと取り合わなかったわけだけど、持ちかけられた相手が悪かった!

その名もブルーノ!ロバート・ウォーカーという俳優さんが演じているこのキャラクターがまぁキモい!!一見、コミュ力も高くて、社会性もある程度持ち合わせているような男性なんだけど、とにかく冗談が通じない。真っ直ぐなひとみでガイに交換殺人を持ちかけて、その軽快な話運びからその場の冗談だろと取り合わないガイと別れた後は、「さぁ、やったろ!」とばかりにガイの憎き相手ミリアムをつけ狙い、その夜に絞殺して殺人を起こしてしまう行動力。そんな事実を知り、戸惑うガイの元に現れて、「さぁ、殺したから今度は俺の親父殺して!さぁ!さぁ!」とばかりにガイのプライベートを度外視して、ほとんどストーカー的にどんな場所にも追いかけてってガイを追い詰めていく。

うーん、実際に会ったら絶対に関わりたくない相手ww

で、ガイもガイでスポーツ選手という職業柄、その腕っ節で追い返したり、一旦殺人を請け負って、逆に父親に知らせようとするんだけど、この手の人物はやはり狡猾というか抜かりないというか、とにかくめげないのでことごとく失敗に終わり、また苛まれていく。

ということで、実際は交換殺人自体が主体ではなく、そんな話をした相手にストーカー行為でどんどん追い詰められていくジャンルスリラーな面白さを堪能する話と言える。

まぁ、とにかく素人目でも映画的ショットがふんだんに盛り込まれており、例えば2人の男を従えて、遊園地デートに繰り出すミリアムを追って、ブルーノが訪れる夜の遊園地の何か起こりそうな不気味な雰囲気だったり、上記のブルーノの父親の屋敷に夜な夜な忍び込んだガイの前に階段上で警戒心を顕にする大型犬のショットの完璧さだったり、シロクロのクラシックな感じと相まって、もうなんか観ていて惚れ惚れする!!

また、アングルもこれまたやばくて、テニスの試合での打ち合いで他の観客がそのラリーに首を左右に動かしているのにただ1人ブルーノだけは真っ直ぐガイに目線をロックオンして、つけ狙われていることの恐ろしさを表現するシーンだったり、列車の激しい走行音でガイの激情表現をリンクさせるシーンだったり、階段上と下でブルーノとガイを対峙させることで優位性や立ち位置を表現していたりと、まるで映画の教科書の如く「上手い!」と思わせる手腕は流石の一言。

ただ、恐怖演出だけでなく、終盤でのガイと相手選手との長くたっぷりと映し出すテニスの試合でのラリーだったり、それと同時並行で描かれるブルーノがキーとなるガイのジッポライターを排水溝に落としてしまって拾えるの?拾えないの?なシーンだったりとタイムリミットサスペンス風にスリリングに魅せるシーンも面白かった。穿った見方をすれば、終盤のガイとブルーノが対峙するために帳尻合わせなのかもしれないけど、それすらも映画的な面白さに繋がるからすごい。

そして、クライマックスのメリーゴーランドのシーン!!整備士?が銃弾で撃たれてしまってブレーキがかからないまま他の乗客を乗せて大暴走をしてしまうメリーゴーランドの中でガイとブルーノが最後の対決らしく取っ組み合いのもつれあい!!そして、最後はちょっとあり得ないくらいの大事故クラッシュで終わるんだけど、これほんとに50年代クラシック?てくらいのスペクタクルでヤバい。

あと、そのメリーゴーランドを止めるために、大暴走する遊具の下から這い出てブレーキを止めようと「俺が行く!」と果敢に挑む見ず知らずの爺さん、勇者すぎだろ…。

ぶっちゃけ、その大クラッシュでのその他大勢の安否が気になりすぎて、最後の顛末がイマイチ入ってこなかったけど笑、それだけすごいシーンだった!!

そんな感じで久しぶりのヒッチコック作品だったわけなんだけど、まぁ流石というか、今観ても非常に面白い作品だった。また、折し機械に触れて観ていきたい。
R

R