三樹夫

白昼の死角の三樹夫のレビュー・感想・評価

白昼の死角(1979年製作の映画)
3.2
東大きっての天才が経済犯罪に手を染め悪の道を突っ走っていくピカレスクロマン映画。キャッチコピーは「狼は生きろ、豚は死ね」と、プロットとキャッチコピー共に威勢よくギラつきまくっているが、実際に主人公たちがやっているのは手形のパクリ屋という結構こじんまりしている。しかも詐欺のやり方もガバガバでごり押しというインテリジェンスがあまり感じられない知能犯罪となっている。こんなガバガバな詐欺まともにやってもしょうがないわと思ったのか、藤岡卓也登場から丹波哲郎登場までの第一の詐欺シーンはユルユルのコメディになっており、『探偵物語』のような本気なのかふざけているのか何とも言えない雰囲気が漂う。
この映画のキーワードはアプレゲールで劇中何回か繰り返される。アプレゲールとは戦前戦中の価値観にとらわれない戦後派のことで、邦画の中で一番わかりやすいアプレゲールとは『仁義なき戦い 広島死闘篇』の、仁義なぞそんなもん知るかい、上手いもん食ってまぶいスケ抱くために生きとるんじゃいという戦後派の快楽主義者の大友勝利だ。だからこの映画には千葉ちゃんが出演している。夏八木勲演じる主人公と千葉ちゃんの二人のアプレゲールが何があってもアプレゲールを貫くというブロマンスになっている。

角川映画でお馴染みの面々が今作でもコンスタントに出てくる。岸田森、佐藤慶、成田三樹夫などなど。天知茂はちょっとだけの出演かと思っていたら、眉間のシワを堪能できるぐらい結構出番が多くて驚いた。
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