三樹夫

インビジブル・ゲスト 悪魔の証明の三樹夫のレビュー・感想・評価

3.7
ホテルの一室で実業家の男が何者かに殴られ気絶し、不倫相手の女はバスルームで殺されていた。ドアにはチェーンがかかっており窓も開かない密室状態だった。男が殺したのではないかと疑われる状況だが、金を持ってホテルに来いと脅されたと言う。有能だと評判の弁護人のおばちゃんが男の元へと訊ねてきて、そこに至るまで何があったかが男の口より語られる。
実は男は女と不倫旅行中に対向車と接触事故を起こしていた。対向車には運転していた若者1人だけで他に目撃者はいない。そこに近所のおっさんが通りがかったが何とか誤魔化すことができた。事故の隠蔽を図り男が車と若者を湖に沈めに行き、自分たちの車は故障し動かないので女は事故現場で待つことに。そこに元整備士だという親切なおっさんが通りがかり、レッカーで自分の家まで車を引っ張っていって直してあげると言われるが、なんと元整備士のおっさんは接触事故を起こした若者の父親だったという、二転三転するミステリー。

二転三転する展開は楽しいし刺激的だとは思うが、どうしても後に何も残らない。どんだけ頑張っても100点満点中79点が上限になるのと、んなわけねぇだろというご都合的だったり無茶苦茶な展開になる。この映画で言えば偶然通りがかって助けてくれたのが父親とかどんな偶然だよとなるが、そういう無茶苦茶なのも楽しくはある。密室状態の中で誰が殺したのかというのがフックになっているが、結局なーんだと期待を下回るというかこじんまりしたトリックになってしまっている。
こういう二転三転下手したら四転五転するやつはどこで終わってもいいという、どんでん返しのためのどんでん返しになりがち。そういう類の代表例だと『ワイルドシングス』だが、この映画も『ワイルドシングス』とやっていることは大枠では一緒。ただ『ワイルドシングス』は無茶苦茶なバカ映画だったのに比べてこの映画は雰囲気シリアス目というか、ただそれでもIQの高い『ワイルドシングス』でしかないけど。『ワイルドシングス』よりIQは高いけど、んなわけねぇだろというのと何やってるんだこいつらというバカ度は下がるので、どっちの映画が良く出来ているかと言われたらこの映画だと思うが、好きなのは『ワイルドシングス』かな。
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