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真実の行方のEDDIEのレビュー・感想・評価

真実の行方(1996年製作の映画)
4.2
“正義”とはなんたるや。真実を追い求め正義を貫いた弁護士と司教殺害の容疑者の青年。果たして司法は誰と戦っていたのか。若かりしエドワード・ノートンに翻弄される法廷サスペンス。

いやー、やられました。
エドワード・ノートン衝撃のデビュー作。ってかこれがデビュー作かよ。アカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞では映画部門の最優秀助演男優賞を受賞。もう一度言います。デビュー作ですよ?

今年公開されたノートンが監督・主演・脚本・製作を手掛けた『マザーレス・ブルックリン』で、彼の演技力の高さを再認識したわけですが、同作のレビューやインタビュー記事などでたびたび目にしたのが本作『真実の行方』です。
本作を彷彿とさせるノートンの演技力の高さが評価されていたわけですが、観てみると驚き。これは騙される。

もちろん核心には触れませんが、以下ややネタバレにもなりうるかもしれません。
本作を鑑賞予定の方はお気をつけください。というかサスペンス好きには観ていただきたいです。


本作はシカゴのカトリック教会で大司教が殺害され、血塗れになった19歳の青年アーロンが逮捕されます。明らかにアーロンが犯人にしか見えない現場検証となるんですが、アーロン自身は殺害の記憶がなく無罪を主張。そこで弁護を請け負うことになったのがリチャード・ギア演じる弁護士のマーティン・ベイルです。対する検事ジェーン・ベナブルを演じるのが『ノクターナルアニマルズ』や『ミスティックリバー』のローラ・リニー。ジェーンはマーティンの元恋人という設定もあり、2人の対決がより白熱したバトルに見えます。終盤の証人尋問からの反対尋問は見応えあり。

そしてクライマックスはもう目が離せません。完全にノートン演じるアーロンの独壇場。いや、ロイというべきか。
この多重人格者という設定がまた狡猾。ただこの『真実の行方』という邦題がまたお見事。結末を迎えた瞬間に「そういうことか!」と。
M・ナイト・シャマラン監督の『スプリット』のジェームズ・マカボイ演じる多重人格者が記憶に新しいですが、これは演技力が試される役柄です。マカボイのように実績あるベテラン役者が抜擢されるのは理解できます。ただ本作のノートンは完全に新人。とんでもない大抜擢ですよ。彼がこの作品で注目されて羽ばたき、『ファイトクラブ』や『バードマン』などで類稀なる演技派俳優として名を馳せたわけですからね。凄まじいです。

ほかにも精神分析医モリー役で若かりしフランシス・マクドーマンドが出演してます。多分彼女が出演していると知らなければ分からないレベル。今と声質が違いすぎてまさに別人です。

法廷サスペンスで俳優陣の演技合戦。
ラストのリチャード・ギアの表情がまた素晴らしいです。

※2020年自宅鑑賞143本目
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