このレビューはネタバレを含みます
息遣いが耳にきこえてくるほど近くまで寄る画
極道の世界が肌をかすめていくようで、
緊張する。
自分が、いつ撃たれるか。と。
山中の、初めて人を殺したあとの顔。
もう二度と後戻りできない恐怖と、
一人前の仕事をした高揚感と、銃の感触に震える目。
極道の世界に踏み入ったんだ…
と考える間もなく納得した。
斜めに切り取る画もかっこいい。
キンジさんの撮る画は、パッとみてもかっこいいと思わせる説得力がある。なんで?
相変わらず人物名を覚えるのが大変だし、
物語を掴むのに必死だった。
味方も振り落とす速度で走るこの映画は、
途中、彼らの感情に触れたときに速度を落とす。
そのときやっと、私は追いついて、束の間の"自分との戦い"を覗くことができる。
やはり、山中が空き家で息を潜めるシーンは圧巻。
山中が映っていなくとも、山中の息づかいがきこえてくるんだもの。
したたる水を捕らえようと口をあけたり、
無駄に音をたてて息をする時間。
だれも手をさしのべてくれないとわかりきった暗闇で、人はあんな風に時間をつぶしていくんだろうか。
今作でも、人が死んだあとのテロップは革命的にかっこいい。
そういえば漫画ピンポンの人物登場の瞬間に名前と戦闘スタイルがででーんと描かれているのを思い出した。なにか影響うけたりしたのかな