エリーン

ヴィデオドロームのエリーンのレビュー・感想・評価

ヴィデオドローム(1982年製作の映画)
5.0
この映画、40年早かった!!
当時の人たちはどれくらい理解しただろう。
ドクターオブリビオンが、「私たちはいずれ、自分の名前を名乗らなくなる」と言っていたがそれは現在のインターネットを象徴しているし、ビデオドロームに惹きつけられるということは、インターネット(含む全て)を介して匿名性の中に潜む人間の内に秘められた残虐性が過激なものを欲していく今の世の中を表している。彼がつけさせられたヘッドギアはまさしくVRそのもので、ドクターオブリビオンたちの宗教(ほぼ)は、現実を超えてVRで精神の世界に生きようと謳っているようなものだと思う。それも今の人々がゲームやバーチャル中で時に切実に願う"救い"なのではと思う。だからエンディングは"グッドエンド"と想定できる。
またしてもとんでもない作品を作ったものだと、テレビの前で何回も唸った。造形もアイデアもストーリー展開も台詞も何もかも完璧すぎる。特にビデオドロームは見るが実際にビデオドロームに志願しようとするニッキは止めようとする日常では普通感がものすごくリアルな人間の在り方を表現していて、よくこんな脚本が書けるなと思う。ハルシネーションのおかげで1歩先も確かか分からない。これは現実か幻覚か、ストーリーを勘ぐったりもできない。圧巻。
デボラハリー演じるニッキーのアブノーマルな開放感がリアルで美しい。
エリーン

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