似太郎

あの子を探しての似太郎のレビュー・感想・評価

あの子を探して(1999年製作の映画)
4.8
【一途な想い😢】

ぼくが初めて観たチャン・イーモウ作品がこれだった。2001年頃に。なぜかエドワード・ヤンの『ヤンヤン・夏の想い出』と時期的に被っており、どちらも子供の目線を通して語られる映像詩といった趣き。

何にせよ、現代のアジア映画は侮れない!と感服した。中国共産党プロパガンダ映画的な側面も少しはあるのだが、そこは敢えて目を瞑る。

学校の代教師を務める13歳の少女ウェイちゃんの奮闘ぶりを応援したくなる一作で、迷子になるわんぱく少年のチャンくんも観ている内に素直な逞しい子だと思えてくる。純朴な子供たちへの眼差しがイーモウ監督らしい味わいがある。

エンタメ性が少ない分、虚飾を排したドキュメンタリー・タッチで日常の些細な「光景」が延々と綴られていく。物語性が希薄なので、どこか絵本みたいな雰囲気もありピュアな感情をそそられる。ラスト近くのテレビ画面を効果的に使った「涙」の描写にはやられた。😢

結構、ベタな映画のにそこまで鼻につかないのは何故だろう❓

キアロスタミの『友だちのうちはどこ?』も子供より邪悪な周囲の大人達の方が印象に残ったが、本作も中国の都会の人々の冷酷さが際立っている辺りが特徴。だからこそ貧しい農村で暮らす子供たちの健気さや可愛らしさが際立つのではなかろうか?と思ったりする。

現在の韓国映画が如何にもエンタメ、エンタメっぽい大味な作風なのに比べ、中国映画は素朴でアッサリしているから個人的に好み。端正な映像美と透明感あるチャイナガール萌え😍した記念碑。
似太郎

似太郎