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あの子を探してのenaのレビュー・感想・評価

あの子を探して(1999年製作の映画)
3.5
チャン・イーモウが目指した、ドキュメンタリーのような世界。
主人公や他のキャストもほとんど素人を使っているだけあって、生々しさが伝わってくる。
主人公がテレビ局の前で通りすがりの人たちに声をかけるシーンでは、誰もキャスティングせず、何も知らない実際の社員達だったらしい。

舞台は中国の田舎の小学校。
休職をする先生に変わって呼ばれて来たのはまだ13歳の少女。
どれだけ頭がいい少女なんだと思いきや、小学校も出ていないという。
お金欲しさに名乗りをあげた少女の林檎のような顔にはあまりにも幼さが残る。

これが20年ほど前の中国ではあり得る話なのかと思うと、まずそれが驚き。
先生一人が休んだだけで、外部からいい先生を呼ぶ経済力がその村にはなく
少女を先生として受け入れるしかなかった。

主人公には特にやる気があるわけでもなく、ただ考えるのはお金のこと。
期間中に生徒が一人も辞めなければ、追加でお金が貰えると知り頭の中はそのことばかり。

家の都合でまだ小さい少年少女が出稼ぎに行くために学校を辞めるのは少ない話ではなかったらしい。

年の近い新しい先生を、全員が受け入れるわけでもなく、授業ではトラブル続き。
そんな中、一番手のかかる生徒ホエクーが学校に来なくなった。

病気がちな母親の代わりに出稼ぎに行ったらしい。
このままではお金がもらえなくなると思った主人公は、自分が思いつくありとあらゆる方法でホエクー(あの子)を探しに行く。

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まず驚くのは主人公の図太さ。
お金のことばっかりで発言がいちいち鼻につく。
ただそんな主人公が、お金のためだとはいえホエクーを探しに行くシーンは純粋に感動してしまう。

きっと、彼女の中でどんどん何かが変わっていったことを想像すると胸が締め付けられるような気持ちになった。

探しに行く過程はとんでもなく過酷。
子供だからといって周りの大人が助けてくれるわけでもなく、みんなとにかく冷たい。
どれほど辛く、孤独な思いをしただろうと思うと最後のシーンは美しすぎた。