あんじょーら

(500)日のサマーのあんじょーらのレビュー・感想・評価

(500)日のサマー(2009年製作の映画)
4.1
「INCEPTION」の中で最も気になった役者はジョゼフ・ゴードン=レヴィットさん、何かしら琴線に触れる役者さんだった(少なくともディカプリオさん【ギルバート・グレイプの時は良かったのにねぇ】や渡辺謙さん【映画で初めて見ました】なんかより全然個人的には好きで上手いと思いました)ので、出演作をチェックしてみたところこの作品がヒット、しかも謎なタイトルがいい感じ、軽い恋愛ものか?と思いつつ借りて見ました。で、かなり(イタ)面白かったです。


運命の彼女が何処かにいると考えているトム(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)とエキセントリックな女の子(ズーイー・デシャネル)の500日間の物語です、というか思い込みです(笑)。おおよそ500日の間を行ったり来たりしながら物語が進むことで、結末は分かっている上でのカタルシスを見せられるか?という非常に受け手に挑戦的な(タランティーノ作品のような)構成になっています。そして、それぞれのエピソードのディティールがリアルであり、なおかつ「見たいもの」と「見ているもの」の違いに受け手が気付かされる心地よさでカタルシスが生まれて面白かったです。


役者さんが気になったので見たのですが、このトムがかっこよすぎるので、つい騙されそうですが、イタイ物語なんですね、男性の。最近読んだ漫画「モテキ」とは毛色は違いますが、ナイーブ(というか悪く言えばダメ男)の世界を描いています。ま、それでも幸世よりトムの方がまともでマシなんですけれど。主人公の友人2人と小さき指導者である子供がまた面白い関係で、しかも全く説明されないんですが、そこも心地よく感じました。


主人公トムとサマーの関係、昔からいたエキセントリックな彼女と振り回される男の世界を、現代の物語に変えるとこんなにもメルヘンチック(男だけの!)な世界が広がっていってしまうのか、という衝撃があります。途中で差し込まれるアレに、私の世代ならば必ず気が付く「恋人たちの予感」へのオマージュに取れる場面があったのも良かった(私も行きましたし、映画館でその当時の彼女と観ました!イイ思い出でイタイ思い出です)です。80年代であれば「恋人たちの予感」のような映画が、この2010年代であれば、こんなにもイタイ映画になってしまうというのも、面白く見れましたしコンパクトに1時間30分に纏められているのも凄いテクニックだと思います。恐らく、数回の視聴に耐えられる作品にするためなのではないか?と私は思いましたし、すぐ2回目を再生して、気になった部分を見てしまいました。


また、音楽ネタで「ザ・スミス」や「ベルセバ(ベル&セバスチャン)」などちょっとだけわき道に逸れているかのようなアーティストを差し込むことでの心地よい「私はほんの少し普通と違う」という部分を満足させる効果にエッジが効いている演出だと思います。だってビートルズの最高の曲に「オクトパス・ガーデン」というサマーと、いや「ピッギーズ」だよというトムのそれぞれの性格が集約されていて上手い脚本だと思いました。


とにかく冒頭の字幕から、もうイタイ男の心の声が滲みっぱなしです。


そんな男の心の声を客観的に笑える方にオススメ致します、基本女子の方には向かない映画だと思いますが・・・



と、いろいろ感想を書きつつも、1番は、今見る映画ではなかった、痛すぎる!が正直な感想です。どうして古今東西のダメ男は似通っているのでしょうね・・・童貞臭と言いますか、現実把握能力の低さと合間っての脳内妄想支配力の強さと言いますか・・・。