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(500)日のサマーのrrのレビュー・感想・評価

(500)日のサマー(2009年製作の映画)
4.2
公開から10年が経ったということを知り、久しぶりに見た大好きな作品。
以前見たときとは違う感想を持つことができる、自分の時間軸の立ち位置でいろんな味わい方ができる好きなタイプの映画です。
まずこれは恋愛映画ではない。生きることを日常レベルで描いているのだということを再認識。
トムはサマーにベタ惚れで翻弄され続ける純朴な青年。映画はトムの視点で語られるから、サマーがビッチに見えるけど、全然そうじゃない。初めからサマーの視点で見ていくとそれが分かる。
例えば、トムはサマーが別れを告げたことが全く理解できないというシーンでは、トム視点ではそれが突然の出来事のように見えている。だけど、実際は2人の間に微妙なテンションのずれがずっと生じていて、サマーの曇った表情は描かれていなかったということが最後にちょろっとわかる。恋は盲目、というけれどまさにその通りで、トムは恋をしてサマーという人間が生きる上での判断軸みたいなものになってしまっていた。世界を自分の都合のいいようにピンク色のフィルターをかけて見ているかのように。だから、サマーの意見や違った価値観に目が向けられなかった。まあ、そういうこと、あるよねえと胸が痛くなった。
この映画で学んだことは、運命とか奇跡というものは自らが良いように作り上げた創造物であって、すべては偶然でできているということ。人間は変わり続ける生きもので、日々のなんてことない偶然が、綺麗にはまったりころがったりした時に私たちはそれを運命と呼ぶんだなぁとポエティックな教訓でこれを終わります。
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