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バッドボーイズ2バッドのAKのレビュー・感想・評価

バッドボーイズ2バッド(2003年製作の映画)
2.9
中盤までは楽しく観ていたが、終盤「国際問題になることを理解しながら」キューバに不法入国して好き放題に暴れまくり、「グアンタナモ米軍基地」で保護されることによって、なんの責任も問われること無く救われるというプロットにドン引きしてしまった。対イラク戦争を擁護するレトリックでしかないやん...

アメリカ公開は2003年7月だけれど、2002年1月に在キューバ米軍基地のグアンタナモは軍法だけが支配する悪名名高い収容キャンプを設立し、アフガン紛争とかの容疑者を人権無視で虐待しまくっていた。ようはこれが、イラク戦争におけるアブグレイブ刑務所での捕虜拷問に繋がっていくわけ。

「俺たちはアメリカ人だから、グアンタナモ基地に辿り着けばなんとかなる」という終盤のカーチェイスは、同時期に中東で行われていた米兵の横暴と国際法無視のレトリックをそのままなぞっている。その意識を逸らせるため、ご丁寧にもカストロが反米であるとわざわざ言及させる。

ウィル・スミスとマーティン・ローレンスという二人の黒人俳優をキャスティングし、老いたキューバ人に「ニグロ」と発言させることによって、キューバ=反米的なカストロの軍事政権=人種差別をするような後進国という構図をさらっと提示する。これ、公開当時は全然批判されなかったんだろうか?

あらためて、現代アメリカ文化作品をリアルタイムで論じるのは難しいなぁと思いました。今観るとこんなにあからさまだけど、この「あからさま性」は、現在の視点で観てるからこそ浮き上がるものなんだろうなぁ。
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