YUKO

灼熱の魂のYUKOのレビュー・感想・評価

灼熱の魂(2010年製作の映画)
4.2
双子の母が亡くなった。
遺言状で父親と兄への手紙をそれぞれに託され、初めて双子はその存在を知ることになる。

父を探すために母親の故郷を訪ねる姉の旅が始まるのですが、「父親と兄への手紙」というワードで初めからミスリード状態で映画を観続けることになります。

ネタバレしやすい内容なので完全に割愛しますが、姉が母の大体の過去を探し出し、最後の仕上げは乗り気ではなかった弟の仕事だったのだけれど
壮絶すぎる母の〈波乱に満ちた人生最後の最後のショック〉を弟が「1+1=2じゃないとしたら…?」という表現で姉に伝えた時、姉も全てを理解してハッとするというか軽い悲鳴のような声をあげるシーンがあったのですが、私もその時同じ感じになりました。身体中の毛が逆立つようなおぞましさ。

そして、その「父親と兄への手紙」は無事渡されることになるんだけど、渡された側のその悲劇っぷりったらない。

究極の愛情と憎悪が入り混じり過ぎて、観終わった時には呆然としてしまって立てなかった。
レバノン内戦という背景があるから余計に終始重苦しい内容なのだけど、母の過去が紐解き始められた時からもう、もう、なんていうか…辛くて。
胸が張り裂けそうってこういうことなのかなぁと。

あとレディオヘッドのYou And Whose Army?が流れる冒頭シーンが素晴らしかったです。
YUKO

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