こぐまくん

灼熱の魂のこぐまくんのネタバレレビュー・内容・結末

灼熱の魂(2010年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

衝撃。
間違いなく人生の一本に入る!

当初はジェイクギレンホール目当てで見たプリズナーズ、複製された男。この監督の映画、めちゃくちゃ面白くないか?と気付いて見ました。

プリズナーズ、複製された男も”重いな”と思っていたけど、この映画を見て、あれでもだいぶライトになったんだな…と思いました。もちろん先の2本も描かれているテーマや内容は充分にウェイトがあるけれど、こちらは邦題通り”魂”レベルに訴えかけてくるというか…一生忘れられない体験をさせてくれました(邦題がダメ過ぎて批判されることが多々あるが、これはうまくつけたなと思う。私は好き)

何の情報もないまま最初に結末を見せ、過去を紐解いていく作りの映画…ってたくさんあると思うけど、これほどその構造が活きた映画ないんじゃないかってくらい!とにかく全てわかった瞬間、わなわなと震えました。

物語の構造上、必然的に二人の子供が必要になってくるんだけど、ジャンヌとシモン、それぞれ母親ナワルに対する考え方が違う点がすごく効いてると思った。二人の幼少期は描かれないが、シモンの様子を見ていると、ナワルは母親として二人を育てるには心が壊れすぎてしまっていたんだとわかる。そしてあの衝撃のシーン…そりゃそうだわなぁ。

アブ・ダレク。清掃員として働き、アパートに住んで、休日は友人とプールに行ったりする。普通の生活、普通の人間。あの手紙を受け取った彼は今後どうなってしまうんだろう、とずっと考えるのをやめられなくなります。

こんな壮絶な話はそうそうないとしたって、子供と親が離れ離れになったり、幼い頃からスナイパーとして人を殺すことを当たり前に育てられたり、そういうことが世界のどこかにあるんだとおもったら頭がぼーっとしてしまう。
PTSDとして心に残ってしまう戦争については色んな映画を見て知る機会があったけれど(ブラザー、ジャーヘッド、アメリカンスナイパー…)こんな風に残っていく戦争もある。

だけど、どんな境遇であっても自分の子供を愛し続けたナワル(シモンには生前は伝わらなかったのかもしれなくて悲しい)、ほんとに灼熱の魂を持った”母”だと思う。
こぐまくん

こぐまくん