ここ数年観た映画の中で、
一番衝撃を受けたかもしれない。
戯曲の映画化だが、
ドゥニ・ヴィルヌーヴの卓越した脚本、
監督としての力量を、
世界に知らしめた作品といえよう。
冒頭から伏線が張り巡らされ、
画面の構図やトーンもほぼ変わらない中、
過去と現在が頻繁に行き来するので、
観る側はやや集中力を試されるかも。
徐々に明らかとなる母親の壮絶な人生と、
それを辿っていく姉弟の心の揺らぎを、
主に姉の目線で体感していくわけだが、
おそらく観ている誰もが、
本人たちより先に疑念を抱き、
それが真実であると確信した時には、
無慈悲な運命の残酷さに、
思わず息を呑み、絶句し、
呆然となるだろう。
さまざまな伏線を回収する終盤の手腕にも、
感服せざるを得ない。
テーマが重そうなので、
観るのを先送りにしていたのだが、
同じような思いを持つ人には、
この稀有な131分の物語を、
どうか腰を据えて、
堪能していただきたい。
いやぁ、まさに、
魂が震える物語を、
久々に観させてもらった。