HALmiyano

蝉しぐれのHALmiyanoのレビュー・感想・評価

蝉しぐれ(2005年製作の映画)
4.0
切なく、凛々しく、奥ゆかしく。運命に翻弄された二人の交わらない想い。
交点はない。平行でもない。
そんな二人の想いはねじれの位置だと自分は思う。

初めてこの映画を観たとき、この二人の恋情を言い表せす言葉が見つからなかった。
すれ違い?すれ違ったわけではない。
噛み合わない?そういうことではない。
頭を悩ませた記憶が蘇った。

いまの答えは上記の「ねじれの関係」。
でも次見た時は違う言葉が浮かぶかも。

「名前を呼ぶ」のは重要なファクター。
名前を呼びたい人がいるならば、普段ぞんざいに誰かの名前を呼んでいるのなら。
きちんと呼んだらいい。この二人でなくとも人間はいつか名前も呼べなくなるのだから。

この映画、派手でもないしスッキリ解決もしない。
原作知識があるから奥ゆかしさととれても、二人の慕情を映画単独から読むには少し難しいかもしれない。
音響も、BGMに対し台詞が小さく聞き取りづらいと感じる向きもあるかもしれない。

それでも自分は見る度に感想の変わる、この万華鏡のような映画が好きだ。
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