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暖簾のchiyoのレビュー・感想・評価

暖簾(1958年製作の映画)
4.0
2021/4/6
15歳で淡路島を飛び出し、浪花屋の主人・利兵衛に拾われた吾平。10年後に暖簾を分けられるまでに出世したものの、想い合ってきた乙羽信子演じるお松と一緒になれないのが何とも辛い。が、山田五十鈴演じる千代の強情さも逆に可愛く、吾平となかなかお似合いの夫婦。そんな夫婦の、山あり谷ありな昆布人生。商人としての成功と昆布への愛情、壊滅的な被害を受けた台風、後継ぎの長男を失った戦争。時代的に苦難の方が多い印象はあるものの、次男・孝平による浪花屋の再建は何にも代え難い親孝行。吾平と孝平は憎まれ口を叩き合うけれど、そのやり取りですら微笑ましい。また、中村鴈治郎演じる伊兵衛、浪花千栄子演じるきのがさすがの存在感。特に、きのが援助を願い出る吾平を一蹴するシーンが圧巻だった。勿論、森繁久彌の吾平・孝平の一人二役もお見事。
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