あでゆ

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコルのあでゆのレビュー・感想・評価

4.4
ロシア・クレムリン爆破事件の犯行容疑がかけられたイーサン・ハント。アメリカ大統領は政府の関与への疑いを避けるべく、ゴースト・プロトコルを発令。イーサンと仲間は組織から登録を消されるも、新たなミッションを言い渡される。真犯人への接近を図るイーサンは、世界一の高層ビル、ブルジュ・ハリファの高層階へ外部からの侵入にチャレンジする。

正直言って3作目までの『M:I』シリーズはまずまずといった感情で、特に『M:I-2』に関しては明らかにこれはダメだろと子供ながらに考えた記憶があるほどだ。しかし、本作を初見時にははっきりとこのシリーズに対する思い入れがぶち上がったことを覚えている。

過去作では完全に「トム・クルーズが活躍するための映画」という作られ方をしていたのに対して、サイモン・ペッグ、ジェレミー・レナーなど明らかに周りのキャラクターを印象付けようと徹底している本作。活躍は多くないが1から存在するルーサーへの目配せもうっとおしくない程度に気が利いているし、なにより全編に渡ってしっかりと全員が活躍しようとしている点がお気に入り。とくにジェレミー・レナーがもはや定番の地面すれすれアクションを担当しているのが象徴的だ。かといってトム・クルーズのアクションファンへのサービスも忘れていない。

SFガジェットも充実していて、ペタペタする手袋や磁力で浮くスーツなどにあふれている中、特にお気に入りはスクリーンに後ろの景色を投影するやつ。アイデア自体は単純だけど未来的で、ベンジーが顔移しちゃったり、たくさんの人間には対応できないなどのギャグセンス高くて好きだ。

ストーリー自体も割と暗くなってしまいそうな、複雑な状況をはらんだ話を軽快めにわかりやすく進行させてるのが良い。例えばイーサンやベンジーが話した難しい説明をブラントが「難しいからわからないけど、ようするにこういうことっしょ?」とラフに説明し直したり、カーターが「端的に言えばできる」といってみたり観客を置いてけぼりにさせない作りになっていて、工夫が凝らされてると思った。

また、もちろんシリーズの定番だった地面スレスレ降下を受けてのことだろうけど、全てのアクションシーンが上から下に落ちるという構造になっている。空間の使い方がめちゃくちゃ上手いのと、孤立無援で落ちるとこまで落ちたイーサンという意味で示唆的でもあると感じる。
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