ポップと水玉

冬の光のポップと水玉のレビュー・感想・評価

冬の光(1962年製作の映画)
4.0
素晴らしい構図がいくつかあって満足。信仰なしで生きるには現実は辛すぎる。けれど、信仰を持ったところで辛さが和らぐわけじゃない。どんなに祈っても、神は不幸を取り除いてはくれない。むしろ神を信じている分、余計に理不尽さが募るだろう。そして一度持ってしまった信仰は、二度と捨て去ることができない。神の存在を忘れることはできないからだ。たとえ否定しても、神は不在という形で人間について回る。本作のつらみは、神の沈黙という以上に、神を捨てきれないことの苦しさなのではないか。しつこく言い寄ってくる女性へぶつけられた司祭の言葉は、どこまでもついてくる神へのいら立ちのようにも聞こえる。