冬の光の作品情報・感想・評価

「冬の光」に投稿された感想・評価

映画

映画の感想・評価

-
冬の日曜日、聖体拝領の場面から始まり、トーマス牧師の不安定な信仰心を丁寧に描写していく。

スウェーデンの漁村で牧師をしているトーマスは、自分の信仰が揺らいでいることを自覚しながら、聖体拝領の仕事をこなしていく。

直後、神経衰弱の夫を持つ婦人が現われる。夫の名前はヨーナス・ペーション。中国の核開発の記事を読んでから、心が塞いでいる。生きている意味とは、神は存在するのか。トーマス牧師とヨーナスの会話は、次第に立場が逆転して、牧師が自分の過去について懺悔を始めている。なぜ、自分は聖職者になったのか。トーマスが創造した神とは……。

懺悔が終わり、ヨーナスは帰り、窓から、冬の光がトーマス牧師を包み込む。牧師はつぶやく。「解き放たれた、やっと……」冬の光を背に受けて、魂を解放した牧師の顔は神々しい。

数時間後、4人の子供たちを残したまま、ヨーナスはピストル自殺をした。境界の髑髏の装飾品が、死を暗示していたかのように。

孤独で愛に飢えている女教師マッタも見事な演技。

神の存在、生と死、愛という普遍的な主題を凝縮した傑作である。

【メモ】
時計の針の音、トーマス牧師の咳
「神の沈黙」
孤独な女教師のラブレターは内容もさることながら長いショットの中で詰問でもするようにこちら側を見つめ続ける眼差しに背筋が凍る思いがする。対比的に伏し目がちな牧師はプレミアリーグで最下位になって解任寸前の監督のような顔つき。どっちにしても人間の体温が片時だって感じられないこんな映画も珍しい。
神の沈黙、愛の不毛、コミュニケーションの不可能性等々いくらでもあるけど、「それでも」は言えず掛けられた言葉は宙に浮かんだまま冬の冷気を一層凍りつかせていた。
ヤバ

ヤバの感想・評価

3.7
初ベルイマン。
とにかく全てにおいて「間」が秀逸だと感じた。セリフとセリフの間隔は時に違和感を覚える程に長く、ときに面食らうほど短い。またシーンの切り替えにしても冗長なカットが続いたかと思えば急に印象的なカットが落差をつけてやってくる。
その一つ一つのセリフの間、シーンの間が独特な緊張感を持たせて映像をスリリングにしていた。

冒頭の執拗な催眠的リフレインとオルガン弾きとの神経質で噛み合わない会話、そこからヨナスとの会話「だが生きねば」「何のために?」への展開はインパクト絶大。

ヨナスの死を知らせにやってくるシーンや、最後のミサのシーンなど、唐突に時間が「飛んだ」という印象を与えられるほどの場面展開もすごい。

また冬の光という邦題に相応しく、光の撮り方が実に美しい。

もう一回ゆっくり見たくなった。
「イングマール・ベルイマン監督 ≪神の沈黙≫三部作 ~その2~」と位置付けられている『冬の光』は、これまたベルイマン監督の傑作のひとつ。

この映画の原題は『聖餐式出席者たち』であるが、ベルイマンが「この作品で最も苦労したのは光線の扱い方だ」と話しているように、邦題の『冬の光』は非常に良いタイトルであると思う。


冒頭と終盤で教会牧師の姿を見る印象が、崇高感から俗世的にガラリと一変してしまうのは、途中の物語を知る/知らないの違いからだが、牧師自身が「神を信じていない」というのを見てしまうと牧師を見る目も変わってしまう。
このあたりが、この映画が「教会での物語」→「教会の外の物語」→「教会」について上手く描写して上手く語っている証明ではなかろうか。素晴らしきベルイマンの手腕。


教会の牧師室で、牧師トーマス(グンナル・ビョーンストランド)に向って彼を慕うマッタ(イングリッド・チューリン)が、「どうしたの?トーマス」と尋ねるとトーマスは「神の沈黙だ」と応えるがマッタは「神の沈黙なんてバカバカしい。もともと神なんて居やしないのに…」という件では、マッタが神の不在を主張しているように見える。

マッタがトーマスに宛てた告白手紙を、トーマスが読むシーンでは、「トーマスが手紙を読む場面」→「マッタが正面向いて手紙内容を語る場面」→「手紙内容が過去の出来事(包帯を外す件)に至っては、更に過去の映像」となるあたりの「入れ子的な構造」が面白い。


記載するとキリが無いほど、素晴らしい物語・映像で構成されたイングマール・ベルイマン監督の傑作である。
atsuki

atsukiの感想・評価

3.9
冒頭、10分程度の礼拝シーンから相談に上手く乗れない牧師の苦悩や叶わない恋模様など普遍的を超えて、何気なさすぎる日常的で冗長だがベルイマンにしか出来ないクオリティは味わい深い。
電気羊

電気羊の感想・評価

3.4
牧師でありながら、従軍牧師としてスペイン内戦に従事した際に目の当たりにした人が人とも思わぬ残虐行為に神を信じられなくなった男の苦悩の物語。俺は無神論者だし、人生に意味などないと思っているので、この主人公と比べる悩むことなどなくと随分と気楽に生きている。人間、どうせ死ぬのだから何も背負ってない方が楽だよ。
ジョン

ジョンの感想・評価

3.3
人は孤独で、多かれ少なかれ寄りかかれる大樹を必要としている。
ねぎお

ねぎおの感想・評価

3.1
「鏡の中にある如く」「沈黙」と今作「冬の光」はベルイマン「神の沈黙」三部作と言われる。
遠藤周作原作の「沈黙」とは異なるものの、結局神なんていないんでしょ的な問い掛けは共通。あっちは神父、こっちは牧師。


映像はタイトルにある冬の光の演出が印象的ですね。
ベルイマンの「神の沈黙」三部作の一つ。

タイトルに偽りなし、確かに顔にあたる冬の光は美しいのだが、一から十まで信仰心の噺。
信仰心が揺らいでしまった牧師という、ともすればかなり滑稽なモチーフを大真面目にやるものだから、我々多神教ないし無宗教の日本人には全く感情移入できないし、延々と教会の中でのやり取りに終止しているため、かなり退屈だ。

主人公が愛人である女教師に告げる残酷な言葉の数々は、もう血も涙もなく、こんな人間に牧師なんかできるものかと思った。
のん

のんの感想・評価

3.0

イングマール・ベルイマンが映画監督じゃなく牧師になってたらどうなったか…?を描いたのかな。
テクニカルなことはともかく、まっすぐ信仰に向き合った映画なので、キリスト教徒でもなくそうした文化圏に育ったわけでもない私からすると、つくづく世界観が違うな~って思った。まず信仰する“私”がいて“神”と向き合う世界。遠い…。

村の信者ヨナスが「中国も原子爆弾を持つ」というニュースを読んでノイローゼになってしまったくだりも不思議。
>|