冬の光の作品情報・感想・評価

「冬の光」に投稿された感想・評価

言葉で語られれば語られるほど自分との距離が遠退いていく。
映画の中の人たちも沼に嵌まっていく。
新田畳

新田畳の感想・評価

4.0
同じ日に視聴したリトル・ミス・サンシャインとはある意味対照的な作品だった。

神への不信が人の形(なり)を滅ぼすと見るべきか、それが本来の人間の姿と見るべきか。

形骸化した祈りのフリをする聖職者。
「亡き妻の猿真似だ」と恋人を罵ったのも、人間をパロディ化した何か別の生き物になっている自分を彼女に投影したからなのかもしれない。

"神"という唯一無二である本物を失い、付随してあらゆるものが胡散臭い偽物と化していく。

それは遥か大昔に本物を見誤ったツケなのかもしれない。

このレビューはネタバレを含みます

[ダメになっていく牧師]

 牧師トマス(グンナール・ビョルンストランド)は、信者ヨーナス(マックス・フォン・シドー)から相談され、生きる意味を問われると、逆に自分の悩みを訴えてしまい、ヨーナスを死に追いやってしまう。相談を受けるものが、不安が高い時に陥りがちなことではあるだろうが、何とも皮肉としか言いようのない展開だ。

 それにも関わらず、ヨーナスが自殺したことを気に病む様子もない。そして、“結婚して”と言い寄ってくるマルタ(イングリッド・チューリン)に、愛してない、と言いながら、心配になると付いて来て貰いたがる。

 牧師としての信頼も失い、信者が来なくなっても礼拝を続けようとする。何とも情けない限り。神の不在というテーマはある。しかし、神を信じられなくなってなって牧師としても、妻を亡くして生きる意味を失い人としても、ダメになっていく姿は、むしろ人間的かもしれない。(2018.10.4)

このレビューはネタバレを含みます

ベルイマン生誕100年映画祭
「冬の光」は上映作品に記されておらずレンタル鑑賞(地元映画館)
伴侶を失った牧師と彼を慕う女教師マルタ
マルタより綴られる真意を突くかのような手紙
牧師より彼女に向けられる刃のような言葉が
信仰心を見失ってしまった自分自身への戒めのように感じられる。
教会の鐘の音の中
膝まづき祈る横顔に反射する光
神を感じた、、
神の沈黙と妻の死により形骸化した聖職と生に悩む牧師の物語である。陰鬱で暗い映画だ。生に悩んでいるこの映画の鑑賞者はこの映画から福音を受ける事は出来ないと思う。何が「冬の光」であったのか。確かに牧師が「光」を浴びるシーンはあった。そのシーンをこの映画のポジティブな起点と考え明るい解釈がもしかしたら出来るのかもしれない。
期待を上回る完成度にまたしても圧倒される。
ベルイマン、すごすぎるな。
あや

あやの感想・評価

4.0
牧師のトーマスは愛する妻を亡くしてから自分の信心について悩む
そんな中、いつも礼拝に訪れる婦人が塞ぎ込んでる夫と話をしてほしいとやってくる


遠藤周作の小説を読むようになってから「神の沈黙」というテーマに興味があるので観た。
キリスト教徒でもある遠藤周作が書いた「沈黙」と同じく、なぜ神はいないのに人は祈るのかという疑問に切り込んだ作品だった。私の中ではまだその答えは見つかっていないけど、少なくとも愛や何かに祈ることで救われることもあると思う。いや、あると思いたい。トーマスの恋人のマッタが絶対的な愛を信じているように。

多くの映画で牧師が聖人のように描かれている一方で、この映画の牧師であるトーマスはとても人間っぽく描かれている。
人生の意味、自分は何を信じているのか、恋人との冷めた関係などさまざまなことに悩んでいる。


映像が本当に美しい。
トーマスを包む冬の光が差し込む様子、静寂のなかの小さな教会と車、懺悔しているマッタの横顔はハッと息をのむほど。
り

りの感想・評価

-
暗い映画だけどベルイマンで一番好きなんです救いないかもしれませんって言われておすすめされたけど光はちゃんとありました
dita

ditaの感想・評価

4.0
@第七藝術劇場 ~ベルイマン生誕100年映画祭~

俺が神を信じられないのは親父のせいだと言わんばかりに牧師をぼっこぼこにしてて、そこまで思うってことは本当は神の存在を信じたいからじゃないの?と思ってしまう。神の沈黙というより、牧師は必ずしも聖人ではないがテーマなのかと。

前も何かで書いたけど、仕事柄牧師と接する機会が多くて、いつも思うのは牧師も人やなぁということ。位の高い方々は違うんやろうけど、わたしの知っている牧師は怒って電話がちゃんって切るし金にはうるさいし自分の間違いを認めようとしない人が多い。その人の信仰心は本物やろうし、宗教を信じる人を馬鹿にするつもりは一切ない。ベルイマンの言いたいことも結局それなんじゃないかなと少し思ったり。人を救うのは結局人だし、人を破滅させるのも結局人なんだと。

映像美は相変わらずため息レベル。ラストの女性の横顔なんてこんなに美しい横顔あるんかというくらい見惚れた。

(グンナール・ビョルンストランドが井上順に似ているではなく、井上順がグンナール・ビョルンストランドに似ていると思うことで井上順問題は解決させた、要するに主演:井上順として観れば何の問題もない(ある
神が存在しなくてもそれがなんだ? 人生に生きる意味は必要か?

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