ショメ作品は初めてでした。
言葉でのストーリー説明、感情表現は全くなく、会話は挨拶程度に限られている。主人公二人の話す言語が違い、お互いに何を話しているかが正確には理解できないことからもこの映画において、セリフはあまり重要でないことは明らかで、キャストの動き、表情、背景などで十分にこの映画の魅力に引き込まれていきました。
少女の身勝手さを貶すレビューも多々ありましたが、彼女は手品師が魔法使いと信じており、自分のわがままのための手品師の努力など知りもしなかったのです。イリュージョンだと信じていたのです。
そのありがたみを知りもしないというようなことは現実世界に照らし合わせてみると親子関係そのもののように思いました。大抵の子供は親のありがたみなどはわからないのです。わかるのは自分が親になった時なのだろうと。そういう点でこの少女はリアルな少女像なのだと思いました。
離島の田舎町に住んでいた少女に夢を見せ、世界の広さ、楽しさを教えてあげることこそ、手品師の人生においての最大のイリュージョンだったのかなと思いました。ラストのワイドショットでの世界の広がり、感動しました。