そうねだいたいね

ランブルフィッシュのそうねだいたいねのレビュー・感想・評価

ランブルフィッシュ(1983年製作の映画)
5.0
青春映画の最高傑作。何度か観てて、久々に再鑑賞。若者の虚無感を描いた作品ではベストでは。今作が自身の生きる目的を疑わず向き合わない若者の物語であれば、黒沢清の『アカルイミライ』は他人を傷つけることで強引に感情を生み出し目的を強引にでも思い出すもしくは作り出そうとする若者の物語か?……。内容はあるようで無いようなもんだが、そもそもそれ自体がテーマのようで今作はコッポラ版『理由なき反抗』と言われているらしいが、まだニコラス・レイの『理由なき反抗』の方が若者が反抗する動機や理由が明確にある印象で、どちらかと言うと今作の方が『理由なき反抗』というタイトルがしっくり来るくらい非行に走る動機や理由が漠然としている。てかもはや終盤辺りにある飲み屋で親子3人が会話するシーンの為にあるような映画。戦う者は間違った場所にいるから戦うのであって、ランブルフィッシュ(闘魚)を本来いるべき場所に帰すことで戦わなくなるというような台詞は、地元の不良とマフィアとではスケールが違うが、どこかコッポラ自身が監督した『ゴッドファーザー』の敵組織や仲間内での争いを冷めた目で見ているような気がしたり。自分が死んだ後の家族や友人らがどんな反応しているのか見てみたいと思ったことが過去にあったので、まんまやってて単純に面白かった。

「ミスキャストさ、間違った時代に間違った場所で生まれた。望むことは何でもできる能力を持ちながら、何も望むことがないって気づいた」