ランブルフィッシュの作品情報・感想・評価

「ランブルフィッシュ」に投稿された感想・評価

yoshi

yoshiの感想・評価

3.8
ゴットファーザーや地獄の黙示録という大作を世に送り出したフランシスコッポラが、意外にも小さい単位で物語を描いた愛すべき佳作。

これは閉塞的な田舎で育った少年の自由への渇望。そして少年期の苛立ちと成長を描いた物語だ。
伝説の不良モーターサイクルボーイが何故、町(街ではなく、規模的に町)に帰って来たのか?
そこに焦点を当てたい。

町中の看板に「モーターサイクルボーイの縄張り」と書かれた田舎町。
主人公の不良少年ラスティが、敵対するグループと一戦交えていた時、姿を消していた兄が帰ってくる。
その兄こそモーターサイクルボーイと呼ばれるバイク乗りの札付きの不良だった。

甘い微笑をたたえて、全盛期のミッキー・ロークが登場。とても、伝説の不良とは思えない柔和な表情で現れる。
しかし弟がナイフで刺された瞬間、一瞬でその目に狂気が宿る。彼はカワサキの大型バイクをウイリーさせてぶつける荒技で敵を倒すのだ!

殴りかかるのではない。
私もバイク乗りだが、バイク乗りなら愛車を大切にするもの…(もったいない!と心の中で私は叫んだ。)だが、彼に躊躇など全く見られない。
乗っていたバイクをぶつけるという、あまりに一瞬の出来事に、私は呆気に取られ、彼の狂気を垣間見た気になった。
「この男、怒らせたら何をするか分からない!」と。

ラスティは彼にずっと憧れていた。
しかし帰ってきたモーターサイクルボーイの内面はすっかり変化していたのだ。

彼は喧嘩を嫌うようになり、目的もなく町をふらつく。
警察に目をつけられているにも関わらず、ペットショップで水槽の中で殺し合う魚(ランブルフィッシュ)を見つめる。

一方で弟ラスティは常に苛立ち、兄貴の縄張りで勝手な事をするなと、様々な人に喧嘩を売る。
兄貴が帰ってきた!また一緒にブイブイ言わせようぜと言わんばかりに粋がっているチンピラだ。(簡単に言うといわゆる田舎のヤンキー。顔はカッコいいけど…)

彼の頭の中には、自己顕示欲と性欲しか無い。
若く精力が有り余った男子の典型だ。
私のように歳をとった男には、昔の自分を見るようで、とても恥ずかしくなるほど。
教室で女性の裸を想像した経験は、健康な男子なら誰でもあるでしょう?

モーターサイクルボーイが町に戻ってきたその目的。
それは弟に「俺のようになるな」と伝えたかったのだと思う。

察するに彼は、喧嘩三昧の荒れた日々に疲れ、閉塞的な町を飛び出し、開放的なカリフォルニアへと向かったのだ。

暴力は暴力を産む。
周りから崇められてはいるものの、その胸には虚しさがあったのだろう。
その虚しさを埋めるため、開放的なカリフォルニアに向かった。
自分を誰も知らない場所で、自分は何者なのか確かめたかったのかもしれない。
(カリフォルニアに住んでいる別れた母親に会いに行ったというのは口実だと思う。)
自分がいなくなれば、街が平和になると思ったのかもしれない。
大切な家族(弟)が平和に暮らせると思ったのかもしれない。

他の土地では、いかに自分がちっぽけな存在であるかに気づいた。
すっかり暴力への熱が冷めた頃に、彼は戻ってきた。もはや暴力による自己顕示欲の情熱はない。青春のエネルギーが枯渇した彼が、周りから老けて見られるのも当然だ。

彼は変わったのだ。
理由なき反抗と目的のない暴力を止め、自分と言う人間は何者か、ルーツを確認するために、まともに生きる目的を探すため(家族に求めて?)町に戻ったのだ。

しかし、町では未だに弟が暴力に身を委ねている。
自分にはその気は無いのに、昔の自分に戻ってほしいと願っている。
自分には生きる目標が何もなく、誰も導くことなどできないと言うのに。
自分はハーメルンの笛吹ではないと、否定する彼の表情は、この映画の中で誰よりも寂しげだ。

彼は常に腕を組み、「暴力は捨てた、もう殴りかかりませんよ」と言いたげに、人混みをすり抜けるように歩く。

この現実味のない存在感と浮遊感は当時のミッキー・ロークにしか出せない。

彼はただ街をうろついているのではない。
兄貴として彼は、距離を置きながら弟を暴力から守っているのだ。

弟は俺のようにはなれない。こんな暮らしをしていたら、いつか死んでしまう。
兄としてどうやってそれを教えることができるだろう?

いつしかたどり着いたペットショップ。
お互いを傷つけ合い、殺し合うランブルフィッシュ。
兄が色盲という設定から白黒撮影で撮られたこの作品で、この魚だけ赤と青の色が付いている。明らかにこの兄弟の象徴だ。

よくこの魚を見てみろよ。
この魚はかつての俺であり、お前なんだ。
こんな狭い水槽(町)じゃなくて、広い海(世界)に逃がしてあげたい。

兄は自由の象徴であるバイクに弟を乗せる。自分が感じた自由を、弟にも感じさせたい兄の愛情。
自由を感じる弟の表情は、とても無邪気で開放的だ。

モーターサイクルボーイはランブルフィッシュをペットショップから盗み、逃がしてあげようとする。
もしかして彼は自殺したかったのかもしれない。
依然何も変わらぬ弟、兄の思いを理解しようとしない弟。自分と言う呪縛から弟を解き放たなくてはならない。

そして人生に対して虚無感が膨れ上がった末に「これを盗めば、俺は警官に撃たれて死ねるんじゃないか?」と考えたのではないだろうか?

あっけなく、あまりにあっけなくモーターサイクルボーイは警官に打たれて死ぬ。
弟はランブルフィッシュを川に逃した後、兄の遺言通りバイクで旅立ち、海へと辿り着く。

兄の死で、閉塞的な町から抜け出し、自由を手に入れた主人公。

兄と言う生きる目標を失った弟が、この後どのように生きていくのか。
恐らく明るいその前途を象徴するように、さざ波に反射する光がまぶしい。

そしてモーターサイクルボーイの想いが静かな余韻を残す。

数十年ぶりに見て、作品の意図するところがようやくわかってきた気がする。
ヒルコ

ヒルコの感想・評価

2.3
あっちゃ〜(´ω`)と言う気持ちでいっぱい。もっと感受性の豊かな、それこそ中二の時に見ておけば良かった作品。
かなり良い❤︎青春底なしの恥ずかしいほどの荒々しさと、コッポラの独特な静かな狂気が存分に感じられる。
でも、(時系列全く無視して言うと)あれ?これヒッチコックだっけ?とかゴダールだっけ?って言いたくなるような、シュールもヌーヴェルバーグも感じる、コッポラには珍しい雰囲気な気もするし、ゴッドファーザーの後の作品ってことも含めて、やっぱこの人天才!!!!☺️
キャストは豪華すぎるし、話もそこまで展開しない感じが最高。音楽も、最高!大事!
グッときたのは 人を引き連れて歩くには、目的地がいる って小声で言った兄の一言。
父親役デニス・ホッパー、ビリヤードバーのマスター役トム・ウェイツ、やっぱり最高だーーーーー❤︎
「アウトサイダー」よりもミニマムな世界でしっとりと味わい深さを際立たせた青春映画。
青春の行き詰まりと、頽廃から創造への飛躍、というようなことをマット・ディロン、ミッキー・ローク、ダイアン・レイン、ニコラス・ケイジやトム・ウェイツ、デニス・ホッパーやなんと若きローレンス・フィッシュバーンまで出てる。
また、なんだこのブッサイクな妹は!と思ったらソフィア・コッポラだった。失礼。

この色を感じない世界のもっと先へ。
川を泳いで海へ出ろ。

ということだけを非常にシンプルに優しく厳しく描いて潔い作品。
mittsun

mittsunの感想・評価

2.0
随分、大昔に見ました。
自分に理解力がなかったのか
あまり意味がわからないまま見てた気がします。
静かな映画だったと。
今見たら変わるかな。
そ

その感想・評価

3.8
兄ミッキーロークの佇まいはかっこいい。いつも囁くような声量でボソボソ喋っているけど、弟マットディロンに着いて行きたいと言われた時だけデカイ声で無理だと言う。本当に無理だったんだろう
憧れの兄を何とか理解しようと必死に着いて回るけど、結局最後にやっぱダメだ理解できねぇ〜と泣いちゃうマットディロンかわいい。

敢えてなのか分からないけどbgmがなんか牧歌的でシリアスなシーンも軽い仕上がりになっている。
飲み屋で岡本太郎みたいなポーズとるアル中の父デニスホッパーに笑った
西崎

西崎の感想・評価

4.0
弟の半端じゃない兄貴へのリスペクトと兄貴の葛藤のバランスがめちゃめちゃ切ない
粉雪

粉雪の感想・評価

3.5
昔、コッポラ好きだった兄からしつこく勧められた作品。当時は全く見る気にならなかったが、数十年ぶりにふと見てみる気に。
なるほど、兄さんの好きそうな映画だ。
息詰まるような、行き場の無いエネルギー。先の見えない青春。白黒の世界としばしば不明瞭になる音声がミッキー ローク演じる兄の世界を表している。昔の兄の面影に憧れ続ける弟と、帰ってきて変わってしまった兄。ランブルフィッシュに魅せられる兄は外の世界で何を見てきたのだろう。
ともすれば退屈になりがちなストーリーを音楽が支えてくれている。カッコいい映画だった。
Qちゃん

Qちゃんの感想・評価

3.6
こんなかっこいい青春映画あったんや!全然知らんかった。監督も出演者も、驚くべき超豪華キャストたちの若い頃の映画。ギャング団のカリスマという無意味な虚像への、若い男たちの憧れと現実。それは、狭い水槽で彷徨う、白黒に映えたランブルフィッシュの、まがい物のような鮮やかさ。


ただただかっこ良かった~


青春を模索するその様こそが一番青春的。

ニコラス・ケイジが!
ニコラス・ケイジがいたぞー!!!笑


家族と青春を絡めるってのが良いっすねぇ。

もう 35年くらい前の映画ですが、全く旧さを感じさせない。

ありがとう、ありがとうミッキー・ローク!
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