Ryan

グラン・ブルー完全版 -デジタル・レストア・バージョン-のRyanのレビュー・感想・評価

3.1
イルカに魅せられた男


ストーリー
1965年、ギリシャ。8歳のフランス人の少年ジャックは、イタリア人の少年エンゾと出会い、素潜りを競い合う。それから12年後。ダイバーとして成長したエンゾは、幼い頃に勝負したジャックの行方を探すが…。


主演 ジャン=マルク・バール
監督 リュック・ベッソン


実在の天才ダイバー、ジャック・マイヨールをモデルにした映画。
当時、映画館には長蛇の列ができ、Grand Bleu Generationと呼ばれるほど社会現象となった。

この作品を見て思ったのは「人間のルールに縛られていない」んだなと。
そういう土地柄、生まれついた環境や人柄等、現代の日本において体感することの出来ない時間の作り方と美しい自然に囲まれて育つ人々の物語は新鮮であり残酷であった。
この映画には車や信号機など我々の日常が一切存在しない。
それでいて、海に幻想を抱く気持ちが理解出来てしまう。
日本からいつのまにか消えしまった"生命の神秘"をこの映画にみた。

"海と人"であり"人vs人"
身近な場所に大自然がある環境で育った人が作る映画だなとしみじみ感じ、それを羨ましくも感じながら「自分は海洋恐怖症だからな…」と半分恐ろしい気持ちで見ていた。
それもあり、大自然を前に"海に魅せられすぎた男"の気持ちは理解出来ず。
ラストの終わり方はとても好きだが、余韻と共に疑問等が残ってしまう。
これが"人間のルール"に従った価値観なのであれば、もう私にこの映画を理解する事は出来ないのだろう。

尺が途方もなく長い。
人間関係が幼少期からの関係を引きずっているので、親戚の感覚。
しかし、大自然を前に狭いコミュニティしか描かれていないので退屈にもなる。

最近になってやっと気づいたが、私個人は初期のリュックベッソン作品がどうやら苦手の様だ。
近年の金が有り余るアクション作品の方が好みである。
Ryan

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