Eyesworth

グラン・ブルー完全版 -デジタル・レストア・バージョン-のEyesworthのレビュー・感想・評価

4.9
【沈潜の人生】

リュック・ベッソン×ジャン・マルク・バール×ジャン・レノの潜水に命を燃やした男たちの海洋ロマン譚。実在のフリーダイバーであるジャック・マイヨールがモデル。

〈あらすじ〉
1965年、ギリシャ。8歳のフランス人の少年ジャックは、イタリア人のうん少年エンゾと出会い、素潜りを競い合う。それから12年後。ダイバーとして成長したエンゾは、幼い頃に勝負したジャックの行方を探す。一方、水族館でイルカを友として静かに暮らしていたジャックに、恋をしたジョアンナが現れる。やがて再会したエンゾとジャックは、ダイビング競技に出場。しかし、彼との勝負にこだわっていたエンゾが敗れる結果となり、そのことがきっかけで悲劇が起こる…。

〈所感〉
こりゃいい。確かに長いが、個人的に『レオン』より断然好き。こっちのジャン・レノは明るく豪胆でガッハッハッと笑いジャイアンみたいで最高。同じメガネ付けようかな。エンゾとジャックは昔から海を通じて結ばれていて大人になってもガキみたいに競い合っているのがブロマンスすら感じさせられて良い。2人が海で『美しき青きドナウ』を口遊みながら踊るシーンが『2001年宇宙の旅』を彷彿とさせられて何回も巻き戻して見た。ゼロでありオメガでもある空間。そうやねん、深海って宇宙やねんな(アンミカ)ジャック・マイヨールは地上で懸命に足掻くも、やはり海でしか生きられない宿命だったのだ。ヒロインのジョアンナは正直居なくてもいい役回りかと思うがブロンドは大事。『シェイプ・オブ・ウォーター』のように彼女も愛してはいけない人種を愛してしまったのかもしれない。抱きしめた手から彼の面影が解けて消えていく運命と知りながら。イルカと戯れている時の彼がまさに水を得た魚で見ていて心弾む。潜水シーンが意外と珍しいので興味深い。エンゾの母ちゃんがジャイアンの母ちゃんばりにゆく先々で強権を発揮し、パスタを食わせるのが面白い。壮大な世界観の割にちょっと作りは粗い気もするが、イルカはかわいいし、海は全ての生物の母であり、無条件に美しいのでやはり名作である。まぁ短い方がいいかな。
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