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ビューティフル・マインドのbluetokyoのレビュー・感想・評価

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)
3.7
欧米人って、天才が好きなんだろうか。話しがちょっとひねってあるけど、やはりギフテッドネタだ。オチネタ自体は、やられた感があるくらいに、見事に決まっているけど(オチネタを知りたくない人はあらすじは見ないでください)。でも、これって、こういう話として、描き切ってしまっていいものなのかは疑問が残るなあ。主人公も大変だったろうけど、それ以上に、奥さんが大変だったと思う。それを当たり前の美談にしてしまうのは、やっぱり疑問だなあ。

簡単にあらすじ。
主人公のジョンは、奨学生としてプリンストン大学に入学する。ジョンは、コミュ障で人と接するのが苦手だったので、孤立していく。そんなとき、チャールズという学生がルームメートになる。チャールズは、ジョンを励ましたりしてくれる。

チャールズの励ましもあり、ジョンは、研究をまとめ上げ、プリンストン大学を卒業できた。ウイーラー国防研究所に就職する。

ある日、パーチャーという男がジョンに話し掛けてきた。なんでも、パーチャーは諜報部員であり、ぜひ、仕事を手伝って欲しいということだった。その仕事というのは、ソ連のスパイが、新聞、雑誌内の記事に暗号を入れ込んで、通信をしているので、それを解読して欲しいということだった。ジョンは、その仕事を引き受けて、雑誌、新聞の暗号解読に没頭するのだった。

ある日、ジョンは、アリシアという女性と知りあう。アリシアと結婚すべきかどうか悩んでいるとき、久しぶりに、ばったりとチャールズに出会った。再会したチャールズに、アリシアのことで悩んでいるということを相談したりすると、チャールズは、かつてのように、ジョンを励ますのだった。ということで、ジョンとアリシアは結婚する。

暗号解読の任務をジョンがやっていることに、ソ連のスパイも気付き始め、ジョンを尾行したりするようになった。
講演しているとき、会場に、ソ連のスパイらしき人物がいることに気付いたジョンは、身の危険を感じ、逃げ出した。だが、ついに、取り押さえられてしまった。

気が付いてみると、ジョンは、マッカーサー病院にいた。実は、パーチャーも暗号解読の任務も妄想だった。さらに、学生のころのルームメートだったチャールズも妄想だった。

治療の甲斐もあって、妄想は消えたが、思考力が衰えて、研究ができなくなってしまった。そこで、治療は中断し、プリンストン大学に戻って、研究を続けることになった。

やがて、ジョンの研究は実を結び、ノーベル賞を受賞するまでになった。もちろん、妄想は消えていないが。

ハッピーエンドでめでたい話なんだが、でも、このタイプの人、いわゆるギフテッドは、たいはん、ほとんどは、ただの変人で無能な人間で終わるんだよな。
この映画であれば、ウイーラー国防研究所を退職しているとして、そのあとは、無職になってしまう。プリンストン大学に復帰したとしても、どういう立場だったのか。奥さんも含めて、まわりの人が、よくジョンの生活を支えたな、と思う。で、通常なら、このまま、一生を終えていたはずなのだ。ノーベル賞とまではいかなくても、なんらかの能力を発揮してよくやった、とまでいくのも奇跡なのである。
そこをちゃんと描かないとダメだな。

ジョンは、プリンストン大学に入ったとき、強いストレスというか、不安を感じたのだろう。それで、チャールズを妄想で生み出した。
ウイーラー国防研究所に就職したときも、仕事に強い不安を感じた。そこで、パーチャー+暗号解読の仕事という妄想を生み出した。
結婚して、子どもができたことで、さらに、仕事に対するプレッシャーを感じて、妄想がひどくなってしまった、ということかな。
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