北海道で、寅は昔世話になった親分の死に目に立ち会う。
やくざ渡世の末路を思い知らされた寅は、堅気になろうと決心する。
地道に、油まみれになって働こうと思って、勤めたのが浦安の豆腐屋。
そこの娘・節子に気に入られ、寅もぞっこん参ってしまい、それこそ汗まみれになって働くが…。
シリーズ第5作。
舞台は札幌と浦安。
3と4作目で違う監督だったが、今回から再び山田洋次監督が担当。
別に演出や作風に何ら変わりは無いのですけど、このシリーズといえば山田洋次。
山田印の新生寅さんがここから始まります。
○○篇と有るように、シリーズ化を宣言した記念碑的作品。
前作公開から半年の製作期間もとって、これより年2回、夏冬に公開されるパターンが定着することに。
当初は本作でシリーズを完結させる予定で、テレビドラマでさくら役を演じた長山藍子がマドンナとして、団子屋のおばちゃん役を演じた杉山とく子がマドンナの母役、博役を演じた井川比佐志が恋敵を演じるなど、作品を締めくくるため以前のキャストを総動員させたが、本作のあまりの人気にシリーズは延長されることになった。
旅先でおいちゃんが死んだ夢を見た寅さんは、心配になって柴又に戻るがまた揉める。
そして以前お世話になった北海道の親分が危篤と聞いて見舞いに駆けつけるが・・・というお話。
今回はいくらなんでも寅さんが可哀想です。
当て馬にされちゃうのが。
なれない稼業に必死になってやってるのに。
のぼるをバシーンと一発強烈な平手打ちをかまし、涙ながらにラーメンをすする寅さん、涙しない奴はいないでしょう。
正直、無理やり笑おうとする渥美清の顔を正視できなかった。
ひでえ。
でも世の中、こんなもんなんである。。
男は恋をすると、その女と一緒になったらどんなにすばらしいことになるのかと夢見るもの。
そんなところがうまく描けているから寅さんはいいんだなあ。
また、1作目から出てる秋野太作演じる寅さんの舎弟・登との、切っても切れない関係がまた良かったりもします。